一般労働者派遣事業を行なうには?

一般労働者派遣事業では通常、派遣労働者を常時雇用することはありません。あらかじめ派遣労働者として働くことを希望する者を登録しておき、具体的な派遣先が決まり、実際に労働者派遣が行なわれる期間だけ、雇用するという形態をとっています。

このような業者では、派遣労働者としての登録をしても、常に派遣労働者としての仕事があるわけではありません。仕事がないあいだは雇用関係もなく、実際に派遣されることになってはじめて、その期間だけ派遣元と雇用契約を結んで雇用され、給料等が支払われるわけです。

このような形態は、特定労働者派遣事業に働く者とくらべると、労働者雇用が不安定な状態になることは明らかです。そのため、一般労働者派遣事業には格段に厳しい許可要件が定められています。一般労働者派遣事業を行なう場合には厚生労働大臣の許可を得なければなりません。この許可には有効期間が定められていて、最初の許可の日から3年間、以後更新の都度5年間、有効とされます。

特定労働者派遣事業を行なうには?

特定労働者派遣事業では、派遣される労働者は、派遣先が決まっていないときでも、その派遣元事業所に雇用されているので、雇用の不安定な状態は起こりにくいといえます。このため、一般労働者派遣事業にくらべると、それを行なうのに必要な手続きも、大幅に簡素化されています。

特定労働者派遣事業を行なうには、必要な書類として定められている書類を添付し、その事業所の所在地の労働局を経由して厚生労働大臣に届け出をします。 また、特定労働者派遣事業を行なう者が、人材不足等の理由で一時的にせよ、常時雇用していない労働者を派遣するようなことは許されません。

たとえ1人でも常時雇用していない労働者を派遣労働者とすると、特定労働者派遣事業に該当しなくなるため、一般労働者派遣事業の許可を得なければならないのです。

紹介予定派遣とは?

紹介予定派遣とは、労働者派遣の開始前または開始後に、雇用することを前提に、まず派遣労働者として使用し、その間の派遣労働者の働きぶりから能力・適性を見極め、派遣先で雇い入れようと思う場合には、派遣元から職業紹介を受けて、従業員として雇い入れる制度です。

派遣先が雇い入れたいと申し入れても、派遣労働者の側が派遣先の労働条件や職場環境などに疑問を感じたときなどは、雇入れを断ることができます。

派遣元事業所が紹介予定派遣労働者として労働者を雇用するときには、その旨を明示することが義務付けられています。

平成16年3月の派遣法改正後は派遣と職業紹介を同時進行で行なうことができますが、これらは別の事業です。紹介予定派遣を行なうためには、派遣業の許可・届け出と有料職業紹介の許可・届け出の両方の条件をクリアしている必要です。

この制度を用いることによって、派遣先には、求人・採用に関するさまざまな業務を派遣先に代行させることができる、採用予定者に対して雇用のリスクをとらないで試用期間を設定できる、などのメリットがあります。

派遣労働者の側も、事前に派遣として働くことで実際の業務や職場の雰囲気などを把握することができるので、雇用のミスマッチ解消に役立つ制度であるともいわれています。

紹介予定派遣で注意することは、紹介予定派遣の期間は、6ヶ月を超えないように求められています。また派遣先が、職業紹介を受けることを希望しなかったり、紹介された労働者を雇用しなかった場合には、派遣元の求めに応じて、その理由を書面、FAXまたはEメールにより明らかにしなければなりません。派遣元は、雇用されなかった労働者の要求があれば、その理由を明らかにすることを派遣先に求めるとともに、明示された理由を当該労働者に文書で明示しなければなりません。

さらに、派遣ができない業務でも紹介予定派遣なら認められる業務として、医療機関への派遣があります。通常の医療機関への派遣は禁止されていますが、紹介予定派遣に限り、病院などへの派遣も認められるようになりました。

派遣と請負の違いはなにか?

派遣とは、自己の雇用する労働者を“他人の指揮命令を受けて、その他人のために労働に従事させること” です。一方、請負とは通常、労働の結果としての作業の完成を目的とするものです。注文者と労働者との間に指揮命令関係を生じるのが派遣、生じないのが請負です。

請負は、一般的には土木・建設業で広く行なわれていますが、請負業者が自己の裁量と責任の元に、自己の雇用する労働者を直接指揮して、仕事の完成にあたる点が派遣とは違います。

請負事業と認められる基準は、

(1)自分の資金で
(2)自分で雇っている労働者の労働時間などを管理して 
(3)自分で労働者を指揮し、服務規律などを守らせ
(4)自分で責任を持って必要な資金は調達し、支払いを行ない
(5)自分が業務処理について事業主としての責任を負い
(6)自分で必要な機械、設備、材料などを調達し
(7)自分の企画や専門的な技術などに基づいて業務を処理するということです。

一般労働者派遣事業の許可申請に必要な書類

一般労働者派遣事業を行おうとする場合は、次に掲げる書類を事業主の主たる事務所を管轄する都道府県労働局を経由して厚生労働大臣に提出しなければなりません。また、許可申請書には、手数料として12万円+5万5千円×(一般労働者派遣事業を行う事業所数-1)の収入印紙を貼付する必要があります。例えば、2か所の事業所で行う場合の手数料は、12万円+5万5千円×(2-1)=17万5千円です。

■ 必要書類リスト

(1) 一般労働者派遣事業許可・許可有効期間更新申請書 3部(正本1通、写し2通)
(2) 一般労働者派遣事業計画書 3部(正本1通、写し2通)
(3) 次に掲げる添付書類 2部(正本1通、写し1通)

(法人の場合) 
(1)~(3)の他に、以下の書類

・定款又は寄付行為
・登記簿謄本
・役員の住民票の写し及び履歴書
・貸借対照表及び損益計算書
・法人税の納税申告書(別表1及び4)の写し
・法人税の納税証明書(その2所得金額)
・事業所の使用権を証する書類(賃貸借契約書等)
・派遣元責任者の住民票の写し及び履歴書
・個人情報適正管理規程

(個人の場合)
(1)~(3)の他に、以下の書類

・住民票の写し及び履歴書
・所得税の納税申告書の写し
・所得税の納税証明書(その2所得金額)
・預金残高証明書
・不動産登記簿謄本の写し
・固定資産税評価額証明書
・事業所の使用権を証する書類(賃貸借契約書等)
・派遣元責任者の住民票の写し及び履歴書
・個人情報適正管理規程

特定労働者派遣事業の届出に必要な書類

特定労働者派遣事業を行おうとする場合は、次に掲げる書類を事業主管轄労働局を経由して厚生労働大臣に提出しなければなりません。なお、手数料(労働局に支払うもの)はかかりません。

■ 必要書類リスト

(1)特定労働者派遣事業届出書 3部(正本1通、写し2通)
(2)特定労働者派遣事業計画書 3部(正本1通、写し2通)
(3)次に掲げる添付書類 2部(正本1通、写し1通)

(法人の場合) 
(1)~(3)の他に、以下の書類

・定款又は寄付行為
・登記簿謄本
・役員の住民票の写し及び履歴書
・事業所の使用権を証する書類(賃貸借契約書等)
・派遣元責任者の住民票の写し及び履歴書
・個人情報適正管理規程

(個人の場合)
(1)~(3)の他に、以下の書類

・住民票の写し及び履歴書
・事業所の使用権を証する書類(賃貸借契約書等)
・派遣元責任者の住民票の写し及び履歴書
・個人情報適正管理規程

有料職業紹介事業の許可に必要な書類

有料職業紹介事業を行おうとする場合は、次に掲げる書類を申請者の所在地を管轄する都道府県労働局を経由して厚生労働大臣に提出しなければなりません。この場合、許可申請書には、手数料として5万円+1万8千円×(有料職業紹介事業を行う事業所の数-1)分の収入印紙を添付する必要があります。

■ 必要書類リスト

(1)有料職業紹介事業許可申請書 3部(正本1通、写し2通)
(2)有料職業紹介事業計画書 3部(正本1通、写し2通)
(3)届出制手数料届出書 3部(正本1通、写し2通)

次に掲げる添付書類 2部(正本1通、写し1通)

(1)法人に関する書類 

・定款又は寄付行為
・法人の登記簿謄本

(2)代表者、役員、職業紹介責任者に関する書類

・住民票の写し
・履歴書

(3)資産及び資金に関する書類

・最近の事業年度における貸借対照表及び損益計算書
・預貯金の残高証明書等所有している資産の額を証明する書類
・所有している資金の額を証明する預貯金の残高証明書
・最近の事業年度における納税申告書の写し(法人にあっては法人税の納税申告書別表1及び4、個人にあっては所得税の納税申告書第一表)
・最近の事業年度における法人税又は所得税の納税証明書(〈その2〉による所得金額に関するもの)

(4)個人情報の適正管理に関する書類

・個人情報の適正管理及び秘密の保持に関する規程

(5)業務の運営に関する書類

・業務の運営に関する規程

(6)事業所施設に関する書類

・建物の登記簿謄本(申請者が所有している場合)
・建物の賃貸借又は使用貸借契約書(他人の所有物の場合)

(7)手数料に関する書類

・手数料表(届出制手数料の届出をする場合)

常用型派遣と登録型派遣の違い

常用型派遣は、派遣先の有無にかかわらず派遣労働者が派遣元に常時雇用されているものをいい、登録型派遣は、派遣労働者が派遣元に登録をしているだけで、派遣先が決まったときにはじめて派遣元と雇用契約(派遣労働契約)を締結するものをいいます。派遣法は登録型派遣を行なう派遣事業を一般労働者派遣事業、常用型派遣のみ行なう派遣事業を特定労働者派遣事業と呼んでいます。

派遣元の派遣労働者全員が「常時雇用される」、つまり、派遣労働者全員が常用型派遣の場合には、その派遣元は特定労働者派遣事業となります。一方、事業所に「常時雇用されていない」派遣労働者、つまり、登録型の派遣労働者が1人でもいれば、その派遣元は一般労働者派遣事業となります。

日々雇用や6ヵ月などの一定の期間を定めて雇用されている派遣労働者の場合でも、過去1年を超える期間について引き続き雇用されて、事実上期間の定めなく雇用されるのと同等と認められる場合や、その採用のときから1年を超えて引き続き雇用されると見込まれる場合には、「常用雇用される」ものに該当することになります。これを逆にいうと、更新する予定なしに1年以内の期間を定めて雇用したり、1年以内の期間を定めて雇用し、期間満了時に更新しない労働者がいる場合には、「常時雇用される」もの以外の派遣労働者(登録型派遣労働者)を雇用するものとして、一般労働者派遣事業と認定されることになります。

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