新会社法で新しく認められる制度を採用するには、定款でそのことを定める必要があります。新会社法における改正の恩恵を十分に受けるためにも、“定款”の役割はますます重要になってきます。
株式会社をつくる際には、会社内のルールを決めた定款が必要です。設立時に作成する定款は、公証役場で認証を受けなければなりません。このとき、収入印紙4万円と、公証役場の認証料5万円と謄本料がかかります。この最初の定款を“原始定款”と呼んだりします。
設立後、株主総会で定款の内容を変更しても、再度、定款の認証を受ける必要はありません。定款の認証は、最初の1回限りです。
定款は、法律の改正や会社の運営方針によって変更されていくものです。商号の変更、事業目的や会社の所在地の変更などは、すべて、会社のルールブックである定款の変更をともなうものです。
定款を変更するには、まず、株主総会で話し合い、通常は、株主総会の特別決議による承認が必要となります。その後、会社の謄本への記載が必要な事項は、登記申請の手続きをとらなければなりません。
登記申請時の添付資料として、定款を変更したことを決めた株主総会の議事録が必要です。しかし、株主総会の議事録をつくる会社でも、定款は直さずに設立したときのままになっている会社がよくありますが、変更のつど、定款を修正し、保存しておいたほうがよいでしょう。“原始定款”は、設立の証拠として重要な書類ですが、定款は、必要に応じて見直され、変更されるべきものです。
新会社法では、定款の役割が今まで以上に重要になっています。取締役会を置くかどうか、監査役を置くかどうか、役員の任期を何年にするかなどは、定款に定めることによって認められます。また、有限会社を株式会社に移行する場合や、1円会社の解散の要件の削除なども、定款の記載事項の変更が必要です。
以上、述べたとおり、すでにある会社が、これらの改正ポイントを会社運営に反映させるには、まず、定款の変更手続きが必要となるのです。