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    推定相続人とはどんな人?
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被相続人が亡くなると、配偶者は常に相続人になります。そして配偶者とともに、子、親、兄弟姉妹の順に相続人になります。これが相続の順位です。

  • 第一順位……配偶者と子 生存する子は何人でも第一順位です。養子、特別養子も子として、まったく同じ権利を持ちます。
  • 第二順位……両親 被相続人に子、孫がなかった場合は、配偶者と父母が相続人なります。
  • 第三順位……兄弟姉妹 被相続人に、子、孫も、父母、祖父母もいない場合は、配偶者と兄弟姉抹が相続人になります。
  • 相続人の廃除とは……配偶者、子、父母などのなかに、被相続人を虐待したりして、ひどい仕打ちをした人がいるときは、その人について相続人廃除の申し立てができます。
  • 相続の欠格とは……にせの遺言状を作ったり、遺言状を破ったりの不正をした場合や、被相続人や相続人を殺そうとした場合には、自動的に相続の欠格者となります。

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    相続時精算課税制度とは?
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この制度は、65歳以上の親から20歳以上の子への贈与について、2500万円まで非課税とし、相続の際に、生前贈与された財産を相続財産に組み込んで相続税を課税するというものです。受贈額が2500万円を超えた場合は、超えた分に対して一律20%の贈与税が課されますが、これは相続時の相続税から差し引かれます。また払った贈与税の総額が相続税額より多かった場合は、払いすぎた分が還付されます。さらにこの制度に関連し、平成17年末までを限度として「住宅資金特別控除の特例」も設けられました。この特例は、一定の条件を満たした住宅の取得や増改築のための資金の贈与に限り、非課税枠を1000万円上乗せして3500万円とするものです。

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    生前贈与をするときの注意点は?
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節税対策として活用される生前贈与ですが、いくつかの大切なポイントをおさえておくと・・・。

1. 贈与契約書を作る。
2. 契約書に書いた日時に、実際に財産を移すこと。
3. 贈与した財産やそれから生じる収入は、受贈者のものであることが周囲にもわかるようにしておくこと。
4. 預金の場合は、印鑑は必ず受贈者のものにし、管理も受贈者がすること。

ただ何よりもまず、資産の承継はどのような形で行うのがベストかを検討してみるのを忘れてはいけません。資産の内容や相続人との関係などを考慮し、現行の課税制度を選択するほうが得か、相続時精算課税制度(当サイトFAQ参照)を選択するほうが得かを見極めることが大切です。その際、今後の財産の価値の変動や、名義変更費用や不動産取得税などかかる費用も考慮しましょう。

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法定相続人が相続できなくなるケースとは?
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法律で決められた事由によって相続の権利を失うことが考えられ、次の2つがあります。

1.相続欠格

・ 遺産欲しさに被相続人を殺害した者
・ 相続順位の上位者を殺そうとした者
・ 被相続人が殺害されたことを知りながら告訴・告発しなかった者
・ 遺言するのを妨害した者
・ 詐欺や脅迫により遺言書の作成・変更・取り消しをさせた者
・ 遺言書の偽造や変造、破棄・隠匿をした者

2.廃除

被相続人を虐待したり重大な侮辱を加えるなど、相続人に著しい非行が認められる場合に、被相続人が家庭裁判所に申し立てるか、遺言により相続人の資格を失わせる行為。

しかし、相続欠格及び相続人廃除は、当事者のみに適用されますので、その者に代わって、子が代襲相続することは認められています。つまり、相続欠格及び廃除により相続人の権利を失った者の子は相続人になれ、財産等を相続できるということです。

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遺産分減殺請求とは?
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遺言書で分割する内容が示されていても、法律上法定相続人には、それぞれ法定相続分の2分の1の遺留分(最低限相続できる額のこと)が認められており、相続分がそれ以下になってしまうときには、遺留分の減殺請求を行うことができます。つまり減殺請求とは、遺留分を取り戻すことの意思表示をすることです。これは家庭裁判所に申し立てる必要はなく、遺留分を侵害した人に、遺留分の減殺の意思表示をすることで請求できます。ただし、遺留分の減殺請求は、相続の開始を知ったときから1年以内に行わなければなりません。また、相続人は被相続人の生前に遺留分をあらかじめ放棄することもできますが、兄弟姉妹には遺留分そのものが認められていません。

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遺産を分割する方法
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次の4つの方法が考えられます。

1.現物分割

それぞれの物品等を個別に振り分ける方法です。しかし、それぞれの遺産価値は同一ではなく、換金したときに各自の相続分に差が生じる可能性もあります。

2.換価分割

遺産を分割することが難しいもの(例えば建物、貴金属類など)や、遺産の種類が少ない場合に考えられる方法で、遺産を売却し、その代金を各相続分に応じて分割します。

3.代償分割

細分化すると不利になってしまう遺産の場合(農地や事業用の不動産など)に、一人または数人が現物で相続し、他の相続人に一定額の金銭を支払う方法です。

4.共有

遺産分割はしないで、全相続人が共同で保有する方法です。

なお、遺産分割のための協議は、相続人全員が加わって行うのが原則です。しかし、住んでいる場所が離れていたり、時間がとれないなど、全員がそろうことが難しい場合は、協議書の案を作り、それを郵送するなどして内容を調整することもできます。また、相続人の中に行方不明者がいるときには、家庭裁判所に申し立てて不在者に代わる相続財産管理人を選任してもらい、その管理人を参加させて協議を行うこともできます。

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特別受益と寄与分
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特別受益

大学進学の学費や住宅購入資金の一部、商売の独立資金など被相続人から生前に受け取っているもののことをいいます。この特別受益は、生前に相続したものとみなし、相続すべき遺産にプラスしたものを全遺産と考えます。(特別受益の持ち戻しといいます) なお、特別受益として得ていた土地・建物等の不動産は、相続開始時の価値に換算し直します。(特別受益時2,000万円、相続開始時2,500万円の価値であれば、2,500万円を相続したことになる)特別受益で得ていた額が、その人の相続分を超える場合でも、超えた分を返却する必要は原則としてありません。ただし、特別受益の額が他の相続人の遺留分を侵害するときは、侵害した遺留分に応じた額の返済をしなくてはいけまん。

寄与分

被相続人の家業を助けるなどして遺産の増加に貢献したり、自らの金銭を出すことで遺産の減少を防いだ相続人は、法定相続の際に他の相続人よりも貢献した分だけ多く相続できる制度のことです。寄与分がどの程度あるかは、相続人間の協議で決めます。寄与分の金額に限度はありませんが、他の相続人の遺留分を侵害することはできません。協議が調わないときには、寄与した人が家庭裁判所に請求して、自分の寄与分を決めてもらうこともできます。 

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  遺産分割協議がスムースに進まないとき
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遺産分割協議がスムーズに進まないときは、家庭裁判所に遺産分割の申し立てをすることができます。
遺産分割の申し立ては、遺産分割に合意しない相続人が住む地域を管轄する家庭裁判所に、遺産目録や被相続人の戸籍謄本を添えて行います。ただし、遺言で分割方法が指定されている場合や、相続人の中に相続放棄または限定承認を希望する者がいるときには、分割の申し立てはできません。
家庭裁判所による紛争解決の手段には調停と審判がありますが、家庭裁判所は、まず調停を行います。調停で相続人間の意見が一致すれば、その内容は調停調書に記載されます。調停調書は裁判の確定判決と同じ効力をもっていますので、相続人は必ず従わなければいけません。
調停で意見が一致しないときは、審判にゆだねます。審判では、家庭裁判所は必要に応じて職権で遺産の種類などを調べ、相続人の権利、年齢、職業、心身の状態など一切の事情を考慮したうえで、法定相続に従って強制的に財産を分割します。
調停で決まったことがらを履行しない相続人がいる場合には、その者に債務不履行の責任が生じます。他の相続人は、約束を守らない相続人を相手方として、地方裁判所に強制執行の申し立てをすることができます。

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  土地を共有名義で相続するときの注意点
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土地を共有で相続すれば、分割でもめることもなく申告手続きもスムーズにすむ、という利点があります。しかし、後々のことを考えれば、共有は避けたほうが無難です。なぜなら、共有者のあいだで、土地を売り払うか、所有したままを望むかなど、将来意見の食い違いが出てくるケースが考えられるからです。
また、誰が管理をするかという問題も出てきます。話し合って分け合おうにも、土地が狭ければそうもいきません。ならば、はじめから単独で所有することを念頭において、分割協議をすすめたほうがよいでしょう。
ただし、すぐに売却して現金を分け合うことで話がまとまっているいる場合は、共有名義にしても問題はありません。
また、将来売却する予定があり当面、親子などが当該土地・建物に一緒に住むなら、共有にしたほうが有利です。売却時に、居住用財産を譲渡した場合の特別控除がそれぞれ受けられるからです。

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  基礎控除とは?
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相続税は、相続や遺贈によって財産を取得した人が払わなければならない税金です。相続税は、各相続人の財産取得額を基に算出するのではなく、遺産全体の正味の遺産額を基に算出します。この額が相続税の基礎控除額より少なければ、相続税は課税されませんし、申告の必要もありません。また、上回った場合は、その額が課税対象となります。

基礎控除額は 【5,000万円+1,000万円×法定相続人の数】 で算出します。
基礎控除の計算の際に数える、法定相続人の人数の注意点は以下のとおりです。

(1) 認知された子は法定相続人として数えます。
(2) 養子のうち、特別養子は全員法定相続人として数えます。一般養子は被相続人(亡くなった人)に実の子がいる場合は一人、いない場合は二人まで法定相続人として数えます。しかし、一般養子であっても、被相続人が結婚した相手の実の子を養子にしたという場合には、この制限はありません。
(3) 相続の放棄をした人も法定相続人として数えます。
(4) 取得分がゼロの人も法定相続人として数えます。
(5) 相続発生時に胎児だった子は基礎控除の計算の場合には法定相続人に数えません。生まれたときに改めて計算し直します。

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  贈与の成立
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贈与は、贈与者が自分の財産を無償で受贈者に与えるという意思表示をし、受贈者がそれを受諾することをいいます。つまり、贈与は一種の契約であり、受贈者が受諾しなければ贈与は成立しません。

一方、遺言によって遺産を譲る遺贈は、受贈者が受諾の意思表示をしなくても成立しますので、一般にいう贈与(生前贈与)にあたらず、相続として扱われます。

贈与は一般の契約とは異なり、取り消すことができます。これは、贈与が対価を伴わず、しかも親しい人に対する好意や感謝を表すための行為で、対価を伴う売買とは本質的に異なるものであると考えられているからです。ただし、贈与の目的物を受贈者に渡した後は、口約束による贈与であっても取り消すことはできません。また、贈与の約束を書面で交わした場合には、一方的に取り消すことができません。これは、贈与が法律で保護されるためです。ただし、双方が取り消すことに合意すれば契約を解除することは可能です。

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  贈与税の基礎控除と配偶者控除
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贈与税には、年間110万円までの基礎控除が設けられています。つまり、毎年控除を受けていても、年間110万円以下であれば贈与税はかかりません。なお、ここでいう基礎控除額の110万円は、一人あるいは数人からの贈与にかかわらず、その合計額をいいます。

また、婚姻期間が20年以上にわたる夫婦間で、居住用不動産またはその取得用金銭の贈与が行われたときには、最高2,000万円までの配偶者控除が受けられます(基礎控除の110万円とあわせれば2,110万円まで非課税)。ただし、贈与税の配偶者控除は、税額がゼロであっても申告しなければ認められません。

配偶者控除を受けることができるための条件は以下のとおりです。

・ 婚姻期間が20年以上の配偶者間の贈与であること
・ 贈与された財産が、居住用不動産か、または居住用不動産を取得するための金銭であること
・ 贈与された年の翌年3月15日までに贈与された不動産に居住しているか、または贈与された金銭によって居住用不動産を取得し、その居住用不動産に引き続き居住する見込みであること

・ 贈与を受ける前年以前に贈与税の配偶者控除を受けていないこと(一生に一度だけの特典)
・ 必要な書類を添付して、贈与税の申告をすること

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  贈与税の住宅取得資金の特例
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一般に他人から資金を援助してもらえば贈与税がかかります。しかし、住宅を取得するため両親または祖父母から援助を受ける場合には、住宅取得資金贈与の特例という有利な特典を利用することができます。

この特例は、550万円までの住宅取得資金のための贈与が非課税になるというものです。夫婦でこの特例の適用を受けると、それぞれの両親または祖父母から資金を援助してもらえば、合わせて1,100万円までが非課税になります。

550万円を超えても1,500万円までは税額が軽減されます。例えば、1,000万円の援助を受けた場合、通常の贈与税額は231万円ですが、この特例を適用すると45万円となります。

このように、贈与を受ける側には有利な特典ですが、贈与をする側にとっても、生前贈与を活用して相続税額を節税できるという大きな利点があります。
例えば、子供と孫が4人いれば、それぞれに550万円、合計2,200万円を無税で贈与できます。それぞれに特例適用限度額いっぱいの1,500万円、合計6,000万円を贈与したとしても、一人あたり95万円の贈与税しかかからず、通常の相続税額と比較するとかなり少なくてすみます。

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  不動産の名義変更の方法と注意点
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不動産に関して各相続人の取得分が決まったら、その不動産の所在地を管轄する法務局に、所有権移転登記の申請を出します。

それぞれの取得分が遺産分割協議によって決められた場合は遺産分割協議書を、遺言書の通りに分割した場合には、家庭裁判所の検認を経た遺言書を添えてそれぞれ提出します。また、法定相続通りに分割した場合は、被相続人と相続人全員の戸籍謄本を、調停による分割の場合には、遺産分割調停書を添えてそれぞれ提出します。

相続開始後、直ちに遺産分割のための協議に入れない場合もあります。また、協議が難航することもあります。そのようなときは、とりあえず相続人全員を権利者として、共有で登記しておきます。共有名義の登記は、複数の相続人がいても、その一人が単独で行うことも可能です。

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  借地・借家、預貯金等の名義変更の方法と注意点
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借地を相続した場合は地主に、借家を相続した場合は大家に、それまでの権利を被相続人から承継したので、名義を変更してほしい旨を申し入れます。特に必要となる書類もなく、名義変更の費用も発生しません。また、地主から手数料などを要求されても、拒否することができます。この逆の立場で、地主であった被相続人の遺産を相続した人も、自分が新たに地権者や大家になっても、変更の手数料を借地人及び借家人に請求することはできません。

銀行などの金融機関では、預け入れ名義人の死亡を知った後は、原則として相続人全員の署名・押印がなければ、それ以降の取引は停止することになっています。そのため、相続人は名義変更の手続きをしない限り、故人の預貯金を引き出すことができなくなります。

必要となる書類は、それぞれの金融機関で多少異なりますが、一般的に次のようなものです。
・ 相続にかかわる依頼書
・ 遺産分割協議書
・ 相続人全員の戸籍謄本
・ 遺言書があるときにはその写し
・ 審判の結果が出ているときには審判書
・ 各相続人の印鑑証明書          など

相続や遺贈によって株式や債券を取得した人は、名義を自分にしておかないと、配当の支払いや企業から発行される各種の通知を受け取ることができません。

相続の場合は、戸籍謄本、遺産分割協議書、相続人全員の印鑑証明書を添え、当該の企業に名義書き換え請求書を提出します。また、遺贈の場合は、裁判所の検認を経た遺言書、遺贈者の戸籍謄本、遺言執行者の資格証明書や印鑑証明書を添えて名義書き換えを請求します。

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  被相続人が家族名義の預金を持っていた。相続財産になる?
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相続が開始された場合、被相続人の妻や子ども、あるいは孫名義の預金が相続財産になるかどうかが問われるケースがよくあります。

この場合、チェックポイントとなるのが、本来預金のお金は誰のものだったのか、ということです。妻に収入があって自身の名義で貯金していたというのであれば、なんの問題もありません。ところが、預金のお金がもともと被相続人の稼いだお金だったとなると、話は違ってきます。預金の本当の所有者は被相続人であり、妻や子どもの名義を借りていたにすぎないとして、相続財産とみなされる可能性があります。

この場合、預金のお金は被相続人からの贈与だと証明できれば、課税をまぬがれることがあります。生活費や教育費などの非課税財産の贈与や、基礎控除内の贈与であれば税金がかからないからです。

こういったケースは、妻名義の預金は妻の印鑑で作る、子ども名義の預金は子ども自身に管理させるなど、贈与を証明できるように生前から対策を立てておくことが必要です。

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  有効な贈与方法
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たとえ子であっても、贈与をすれば贈与税がかかるのは当然ですが、課税されない贈与もあります。代表的なものは、扶養義務者が負担する生活費や教育費です。ただし、通常必要とされる程度に限るという制約はありますが、国の内外を問わず、子の教育費に多額のお金がかかっても、正当な範囲内のものであれば非課税になります。

親が子の挙式のための費用を負担した場合、通常、世間一般で行われている範囲の豪華さや、社会的地位にみあったものであれば、贈与税が課せられることはありません。しかし、持参金として110万円を超える金額を子に手渡すと、贈与税が課せられるので注意が必要です。

子に新居の購入資金を贈与した場合、贈与税の対象になりますが、住宅資金の贈与については550万円まで非課税となる特例があります。また、住宅取得用資金の減税措置は、夫婦間の贈与にも設けられています。夫婦間で居住用不動産または、その取得資金の贈与が行われた場合は、配偶者は最高2,000万円が課税価格から控除されます。さらに基礎控除の110万円を加えると2,110万円までの控除が可能となります。しかも、配偶者控除を受けた贈与財産は、贈与後3年以内に贈与者が死亡しても、贈与財産を相続財産に加算する必要はありません。なお、贈与する場合は、減価償却で評価が下がる家屋より、下落してもまた上昇する可能性のある土地のほうが有利です。

その他では、被相続人があらかじめ財産を孫に贈与する方法が考えられます。つまり、子に贈与すれば、仮に被相続人が贈与後3年以内に死亡すると、贈与した財産はみなし相続財産として課税の対象になりますが、推定相続人(法定相続人)以外の人(孫など)に生前贈与した財産は、たとえ相続開始直前の生前贈与であっても、相続財産に加えられることはありません。ただし、孫でも遺言で遺産を贈られた場合は、相続税が課せられます。

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  不動産のかしこい節税
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宅地を更地で保有するよりも、貸家やアパートなどを建てたほうが節税できます。その理由として、まず貸家建付地にすることによって、借地権の額に借家権割合を掛けた額を更地の価額から控除して評価することができるからです。また、建物も、自宅の約70%の評価でできるようになります。

ただし、この方法の注意点は、あらかじめ借家人の確保計画を立てたり、収支計算などを慎重に行うなど、綿密さが求められることです。そのほか、相続が発生すれば、納税資金を確保するため、その土地を売却する可能性が高いときには、売りやすい更地にしておいたほうが有利な場合もあります。したがって、この方法はケースバイケースといえるかもしれません。

また、更地を所有しているが、マンションなどを建築するだけの資金がないという場合は、等価交換方式の利用を検討してみるのもよいと思います。等価交換とは、地主が土地を提供する一方、開発業者(ディベロッパー)が建築費を出資してマンションやビルなどを建てる方法です。建築した建物は、それぞれが出資した比率に応じて区分所有できます。その結果、建物は貸家として、評価額は固定資産税評価額の70%に減少します。さらに、土地についても貸家建付地として、更地の価額から貸家権分を控除することができます。また、建物を賃貸にすると、土地のうち200平方メートルまでは小規模宅地等評価の特例により、貸家建付地価額の50%で評価されます。

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  節税を意識した遺産分割
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協議分割による遺産分割には、遺産額が法定相続分、あるいは1億6,000万円のいずれかの額以下であれば非課税になる、配偶者控除を利用する節税方法があります。つまり、被相続人の配偶者に配偶者控除の限度枠いっぱいまで、相続させることによって、全体として納付すべき相続税を少なくするというものです。

しかし、ここで注意しなければならないのは、将来値上がりしそうな遺産は配偶者に相続させないということです。例えば、被相続人の配偶者が土地を相続することで節税できたとしても、通常、配偶者は子より先に死亡します。そのときに土地が値上がりしていれば、被相続人が死亡したときよりも多くの相続税を子が支払うことになります。その額が前回節税した分を上回れば何にもならないからです。つまり、配偶者は預貯金や現金、家屋などを優先して相続するほうが、有利になります。

将来、売却予定のある住宅は、そこに居住可能な人が相続したほうが有利です。これは相続した物件を売却するときに課せられる所得税の関係で、売却する不動産が居住用であれば3,000万円の特別控除を利用でき、譲渡所得から特別控除額を差し引いて計算できるからです。そのため、譲渡利益が3,000万円以下であれば非課税となり、3,000万円を超えていても、超えた部分のみが課税の対象となります。

ただし、この特例は、譲渡者自身が現に居住している家屋か、居住しなくなって3年が経過する年の年末までに譲渡した場合に限り、受けられます。

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  遺産の取得と放棄
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遺産をそのまま相続することを単純承認といいます。単純承認では被相続人のプラスの財産とマイナスの財産(借金)を同時に相続することになります。従って、被相続人にマイナスの財産がある場合には、その借金を遺産の中から優先的に債権者に支払わなければいけません。

このマイナスの財産と認められるものは、具体的には借金や銀行などからの借入金、電気・ガス・水道・電話代などの未払い金、店へのツケなどの買掛金、住宅などの各種ローン、入院費などの未払い医療費(被相続人の子どもが立て替え払いしたものも含む)、貸家などの賃借人からの敷金・保証金などの預かり金などです。また、何人かで連帯して返済することになっている債務(連帯債務)のうち、被相続人が負担することが明らかになっている金額がある場合には、その額も含まれます。

相続の意思表示は、自分が相続人になったことを知ったときから3ヵ月以内にしなければなりません。仮に、何の意思表示もせずにこの期間が過ぎてしまえば返済義務を含め、すべて相続したものとみなされます。さらに、相続財産の一部を消費してしまえば、単純承認したとみなされます。この3ヵ月間を熟慮期間といいます。この期間中に相続の意思表示をすると、その後の変更はできません。

例えば「全財産の1割を贈与する」というように、遺産全体に対する割合を指定して遺贈される人もいます。このような方法で遺贈された人を包括受遺者といいます。包括受遺者は、他の相続人と同様、指定された割合に応じて被相続人の返済義務も引き受けなければなりません。一方、例えば「指輪類は妹に遺贈する」というような、遺産の中で特定のものを遺贈された特定受遺者は、遺言に特別の指定がない限りマイナス遺産の返済義務を負うことはありません。なお、遺言書で遺産を贈られても、これを放棄することは自由にできます。

遺産の額や種類が判明するまでには、ある程度時間がかかるのが普通です。そこで、マイナスの財産のほうが多いと予想されるときには限定承認という方法をとることができます。これは、相続財産の範囲内でマイナス財産も承継するという相続方法です。結果的にプラス財産のほうが多ければ、差し引いた遺産を取得することができます。そのため、遺産額がプラスかマイナスかはっきりしないときに有効な方法といえます。財産目録の作成が、熟慮期間中(3ヵ月以内)にできないときは、期間の延長もできます。

最初からマイナスの財産のほうが多いとはっきりわかっているときには、相続放棄を選ぶことができます。相続の放棄は、相続人が相続放棄申述書を相続の開始から3ヵ月以内に、家庭裁判所に提出しなければなりません。家庭裁判所は、この申述書によって本人の意思を確認したうえで受理します。なお、相続財産の一部を処分したり、隠匿したりすると放棄は無効となり、単純承認したものとして扱われます。

相続放棄が家庭裁判所で受理されると、原則として取り消すことはできません。むやみに取り消しを認めると、他の相続人や第三者に迷惑をかける可能性があるからです。ただし、相続放棄の意思表示が、だまされたりおどかされて行われた場合や、法定代理人の承諾を得ない未成年者によってなされていた場合などは、取り消すことができます。

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  遺言の基本
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遺言書の内容は、相続発生と同時に法律によって厳重に守られ、協議分割成立以外は、相続人は遺言書に拘束されます。遺言は、満15歳以上で正常な判断をもつ人であれば誰にでもできます。また、成年被後見人も遺言できますが、正常な判断のもとに行ったことを証明するために、2名の医師の立ち会いが必要になります。

特定の相続人に対して法定相続分とは異なる割合を指定したり、あるいは土地は長男に、書画骨董は次男にというように、遺産ごとに相続人を指定することができます。また、相続分の指定と遺産分割方法の指定を第三者に委託することもできます。さらに、5年を超えない範囲であれば、遺産の分割を禁止することも可能です。このほか、特別受益の持ち戻しの免除、祭祀継承者の指定なども遺言できます。

その他では、遺言で非嫡出子を認知したり、相続人の中に未成年者がいる場合、その財産を管理する後見人を指定したり、後見人を監督する人(後見監督人)も指定することができます。さらに、相続人の廃除、廃除の取り消しも遺言できます。併せて、遺言書の内容を実行する遺言執行者の指定や、その指定を第三者に委託することもできます。中でも、子の認知の届け出や相続人の廃除、その取り消しの請求は、遺言執行者でないとできませんので、必要に応じて指定します。

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  自筆証書遺言
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自筆証書遺言は、名称のとおり自分で書く方法です。肉筆で申し残しておきたい内容を書き、日付を入れ、署名・押印すればできあがりです。さらに、用紙の種類や大きさ、筆記具などは問われませんし、封筒に入れて封をするかどうかも自由です。

ただし、簡単に書けるので、記入もれも目立ちます。その代表例が日付の記入もれです。年号は西暦でもかまいませんが、日付を明記しないと法律的には無効となります。なお、「平成○○年元旦」や「○○年の誕生日にこれを記す」など、日付が記載されていなくても書いた日が特定できれば有効です。

また、自筆証書遺言は、すべて自筆でなければいけません。ワープロで打ったり、テープに吹き込んだり、代筆されたものは無効です。書き上げた後は、自分で保管します。その後訂正したい箇所があるときは、訂正してもかまいません。訂正箇所に訂正印を押し、訂正した文字数を明記して、その部分に署名します。訂正印は、署名の横に押した印と同一のものを使用します。ちなみに、遺言書に使用する印鑑は、三文判でもよいとされていますが、なるべく実印を使いましょう。

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  公正証書遺言と秘密証書遺言
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公正証書遺言は、公証人役場に出向いて、公証人に書いてもらう方法で、二名以上の証人が必要です。ただし、未成年者や成年被後見人、推定相続人や受遺者、それらの配偶者、公証人の配偶者や四親等以内の親族、雇用人などは証人になれません。

公正証書遺言は、遺言者が遺言内容を公証人に口頭で告げ、それを公証人が筆記します。筆記が終わると、公証人が記載内容を読み上げ、遺言者と証人が内容に間違いないと認めると、それぞれが署名・押印(実印)します。これに、公証人は、遺言書が法律に従って作成されたものであることを付記して署名・捺印し、公証人役場で保管します。

このように、公正証書遺言は自分で保管する必要もなく、遺言の存在と内容を明確にしておくことができる利点があります。また、身体に障害がある人や、寝たきりの人など、公証人役場に出向くことが困難であっても、公証人を自宅や病院に呼んで遺言することも可能です。家庭裁判所の検認を受ける必要もありません。一方で、証人が立ち会って、公証人が書き取るわけですから、遺言内容の秘密が保ちにくいという欠点もあります。また、公証人への手数料も必要になります。

秘密証書遺言は、公正証書遺言と自筆証書遺言の中間的なものです。つまり、自分で書いて封印し、二名以上の証人とともに、公証人役場で本人が書いたものであることを確認してもらう方法です。遺言書自体は自筆でなくてもよく、代筆してもらったものでも、タイプやワープロで作成したものでもかまいません。

秘密証書遺言は、自筆したものである限り、証人も公証人も遺言内容を知りませんので、秘密は完全に保たれます。そのうえ、証人がいるわけですから、遺言書の存在もはっきりしています。ただし、書き方に不備があれば無効になりますし、本人が保管するのですから、紛失する可能性もゼロとはいえません。

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  自分の希望通りに相続させる遺言書
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被相続人としては、配偶者に定期収入がなければ、なるべく多くの遺産を残しておきたいと思うのが人情です。また、家業を長年手伝ってくれた子には他の子よりもたくさん相続させたい、看病をしてくれた嫁に感謝の気持ちを込めて遺産を譲りたい、などと思うこともあるでしょう。

そこで、例えば配偶者に最大限の遺産を残したいときには、「全財産を妻に相続させる」と遺言書に書いておきます。ただし、子には遺留分がありますから、遺言の通りにはなりませんが、遺留分は法定相続分の2分の1ですから、妻の相続分が多くなります。これは、子が一人のときは、法定相続では妻と子が2分の1ずつ相続しますが、先のように書いておくと、子が遺留分減殺請求を起こしたとしても、全体の4分の3を配偶者に相続させることができます。

被相続人が事業を営んでいて、主な財産が店舗や信用しかないという場合、それを分割して相続させると事業の継続が困難になることがあります。このようなときは、遺言で遺産の分割を禁止します。禁止の効力は5年間ですが、それだけの期間があれば、相続人同士でなんらかの解決策をみつけることができるかもしれません。

また、特定の相続人に事業のすべてを相続させたいと願う被相続人もいるでしょう。こうしたときには、他の相続人に遺留分を放棄してもらいます。相続の放棄は相続発生後でなければできませんが、遺留分の放棄は相続発生前にできます。ただし、遺留分の放棄には家庭裁判所の許可が必要です。

遺言書は、相続発生後速やかに発見されるのが理想ですが、その反面、生前中の保管・管理がめんどうです。ベストな方法は、弁護士など社会的に信頼できる人に保管を委託することです。また、銀行の貸金庫を利用する人も多いようです。このほか、信頼できる親戚に預けるという方法もあります。その点、秘密証書遺言や公正証書遺言は、この種の心配はありませんので、事情が許す限りいずれかの方法をとったほうがいいでしょう。

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  遺言書が見つかったら?
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被相続人の死後、遺言書を見つけた人や遺言書を預かった人が、勝手に遺言書を開封することは厳禁です。必ず、すぐに遺言者の住所地の家庭裁判所へ遺言書を提出し、検認の請求をしなければなりません。検認とは、遺言書があることを関係者に知らせ、偽造や変造を防いで保存を確実にするためにとられる手続きのことです。公証人役場に保管されている公正証書遺言以外の遺言書は、この手続きを経なければいけません。この手続きで、相続人の立ち会いのもとに遺言書を開封し、内容を検証することになります。もし、検認の手続きを経ないで勝手に開封してしまった場合は、過料が科せられます。

遺産分割が終わった後に、遺品を整理していたら遺言書が出てきたという場合の扱いですが、原則として、遺言書の内容よりも協議分割の内容が優先されます。そのため、相続人全員が協議分割に合意していれば、遺産分割をやり直す必要はありません。遺言書には、相続にまつわる紛争を避けるという目的もあります。従って、順調に相続が行われている以上、その目的はほぼ達せられていると解釈できるのです。

しかし、遺言執行者が指定されていると、話は違ってきます。相続人は遺言執行者の行動を妨げることはできませんから、執行者が遺言通りに分割すると言えば、それに従わなければなりません。もちろん、遺言執行者が協議分割を追認した場合は、そのままでかまいません。

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  相続分皆無(不存在)証明書
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農業や商業を営んでいる場合、現在の均分相続でいくと、事業用資産が細分化され、経営が成り立っていきません。そこで、一般に利用されているのが、相続放棄と遺産分割協議書の利用です。相続の放棄は、家庭裁判所に相続放棄の申述書を提出する手続きが必要です。遺産分割協議書は、自分は何々の財産をもらうということを協議書に記載して相続人全員が署名捺印して(印鑑証明書の添付が必要)作成するものです。
これらの手続きを省き、もっと簡単な方法として、“相続分皆無(不存在)証明書”を利用する方法が行われています。これは、「生前に被相続人より、生計の資本その他特別受益を得ているので相続分はありません」という趣旨の証明書で、民法903条に規定する特別受益者の相続分について作成される証明書です。他の相続人が相続による所有権移転登記をする際に必要です。
この方法は、遺産分割協議手続きや相続放棄手続きの脱法手段として濫用される危険性があり、後日、紛争のもとになりやすいとの批判がありましたが、その効力については有効であるとの判決も出ています。特別受益の内容としては、「生計の資本」、「学資金」、「誰々との離婚の際」などと財産の贈与を受けたことを記載しますが、具体的な金額などは不要です。証明書に押印した印鑑の印鑑証明書が必要ですが、収入印紙は不要です。

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  内縁の妻は相続人になれるか?
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内縁の妻は被相続人に妻や子・親・兄弟姉妹等の法定相続人がいる場合には、相続人となることはできません。ただし、被相続人に妻や子・親・兄弟姉妹等の法定相続人がいない場合には、特別縁故者として相続が認められるでしょう。
なお、居住用の借家については、他に相続人がいない、借家が居住用であるという条件を満たしていれば、内縁の配偶者もしくは事実上の養子等の関係にある者が同居者である場合、借家権の承継を認めています。また、借地についてはこのような規定はありません。しかし、被相続人が生きている間に借地上の建物を内縁の妻名義にしておくか、遺言に借地上の建物は内縁の妻に贈与するとはっきり書いてあれば、建物の所有者は内縁の妻になれます。
特別縁故者 …… 被相続人と生計を共にしていた人や被相続人の療養、看護に努めた人などが認められ、相続人の不存在が確定したら、家庭裁判所に相続財産の分与を申立てをすることにより財産の全部または一部が分与されます。

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  農地相続のための対策
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相続法の規定では、相続人である子の相続分は平等です。例えば、農業を継ぐ長男も、サラリーマンをしている次男も、結婚した長女も、同じ割合で相続することになります。しかし、農地法では、農地は自ら耕作する者が所有することが原則となっています。もし仮に、農地を先の三人が当分に相続したとしても、次男・長女に農業経営は事実上不可能ですし、農地を売ることも農地法上困難(知事などの許可が必要)です。だからといって、長男が次男・長女の相続分である農地を金で買い取るというのも、あまりに重い負担となります。このようなことを見越して、農業経営の継続のための有効な対策としては次のようなものがあります。

対策(1) 
公証人役場で公正証書で遺言を作り、長男に農地を相続させるという遺言をしておきます。ただし、この方法では、他の相続人から遺留分を返せという遺留分減殺請求があると、長男は返さなくてはならなくなります。したがって、この方法を完全にするためには、被相続人の生存中に、他の相続人を納得させて遺留分放棄をさせておく必要があります。

対策(2) 
農地は全部、長男に生前贈与してしまいます。この方法の利点は、農地を贈与した結果、他の相続人の遺留分を侵害していても、あとからこれに対して他の相続人が文句をつけるということが(裁判上の手続きが必要で、時間と費用がかかり大変なため)事実上困難だということです。他の相続人にも農地以外の財産をある程度残しておけば、それでうまく片がつくことが多いものです。

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  借金を相続するとき
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相続財産には借金のようなマイナス財産も含まれます。例えば、死亡した人(被相続人)の“銀行への債務・手形振り出しの債務・連帯保証人の地位・裁判上の地位”などです。その負担があまりに大きいときは、相続人が相続放棄をすることもできます。

相続放棄をせず、マイナス財産を相続する場合は……
例えば、法定相続人が2人の子だけなら法定相続分に応じて2分の1ずつ相続することになります。相続人間で話し合いこれとは異なる割合で負担することもできます。相続人の1人が相続放棄すると残りの相続人にその負担がいくことになります。

身元保証については、被相続人の一身専属的なもので、相続によりその地位が承継されることはありません。問題は、将来にわたる継続的取引などによる債務の連帯保証の場合です。この場合、被相続人(連帯保証人)の死亡後に生じた債務については保証債務を相続人は承継しないというのが判例の立場です。なお、保証債務も債務の一種ですから、被相続人の生前に保証より生じた債務については弁済義務を負います。

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  相続人を探すには?
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兄弟仲が悪かったりしますと、相続が開始しても、相続人が不明の場合があります。このようなとき長年、消息不明であれば失踪宣告 (※)の申し立てという方法もありますが、多くの場合、生きているのは確実ですが、今どこにいるかがわからないといったケースが多いようです。

このような場合、住民票の附票を追っていくという方法があります。住民票の附票には、どこに、いつ住民票を移したかが分かるようになっています。理由がなければ見せてくれませんが、相続のために相続人を探していることを証明すれば、見せてくれるはずです。

※ 失踪宣告の手続
利害関係人(不在者の配偶者、父母、相続人)が、不在者の住所地を管轄する家庭裁判所に申立てます。家庭裁判所は調査を行った上で、失踪に関する届出の公示催告をします。不在者本人、利害関係人による取消し(即時抗告)がなければ、失踪宣告は確定します。
失踪者が生存していたとき、失踪宣告は取消されます。しかし、取消し前に善意でした行為は有効です。財産は本人に返還しなくてはなりませんが、現に利益を受けている限度(財産の一部を使った場合は残っている部分について)で返還すればよいことになっています。

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  遺言があるときの相続は
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遺言書どおりに相続したくないからといって、遺言が有効である限り、勝手に遺産を分けるわけにはいきません。ただし、遺留分侵害があれば減殺請求権の行使ができます。また、寄与分の主張が認められて変わる場合もあります。

なお、指定相続分や遺贈の権利を持つ者の自由意思による同意があれば、遺言に定められた場合・指定された物件と異なる分割をしても違法ではありません。つまり、相続人間で話合いがつけばいいということです。

遺留分 …… 民法が規定した、被相続人が法定相続人に最低限残さなければならない遺産の最低部分のことです。ただし、兄弟姉妹に遺留分はありません。遺言や遺産分割協議による遺産分割が「遺留分」を持つ法定相続人の遺留分を侵害している場合、その法定相続人は「遺留分減殺請求権」を行使して侵害された遺留分を取り戻すことができます。

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一般労働者派遣事業では通常、派遣労働者を常時雇用することはありません。あらかじめ派遣労働者として働くことを希望する者を登録しておき、具体的な派遣先が決まり、実際に労働者派遣が行なわれる期間だけ、雇用するという形態をとっています。

このような業者では、派遣労働者としての登録をしても、常に派遣労働者としての仕事があるわけではありません。仕事がないあいだは雇用関係もなく、実際に派遣されることになってはじめて、その期間だけ派遣元と雇用契約を結んで雇用され、給料等が支払われるわけです。

このような形態は、特定労働者派遣事業に働く者とくらべると、労働者雇用が不安定な状態になることは明らかです。そのため、一般労働者派遣事業には格段に厳しい許可要件が定められています。一般労働者派遣事業を行なう場合には厚生労働大臣の許可を得なければなりません。この許可には有効期間が定められていて、最初の許可の日から3年間、以後更新の都度5年間、有効とされます。

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特定労働者派遣事業では、派遣される労働者は、派遣先が決まっていないときでも、その派遣元事業所に雇用されているので、雇用の不安定な状態は起こりにくいといえます。このため、一般労働者派遣事業にくらべると、それを行なうのに必要な手続きも、大幅に簡素化されています。

特定労働者派遣事業を行なうには、必要な書類として定められている書類を添付し、その事業所の所在地の労働局を経由して厚生労働大臣に届け出をします。 また、特定労働者派遣事業を行なう者が、人材不足等の理由で一時的にせよ、常時雇用していない労働者を派遣するようなことは許されません。

たとえ1人でも常時雇用していない労働者を派遣労働者とすると、特定労働者派遣事業に該当しなくなるため、一般労働者派遣事業の許可を得なければならないのです。

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紹介予定派遣とは、労働者派遣の開始前または開始後に、雇用することを前提に、まず派遣労働者として使用し、その間の派遣労働者の働きぶりから能力・適性を見極め、派遣先で雇い入れようと思う場合には、派遣元から職業紹介を受けて、従業員として雇い入れる制度です。

派遣先が雇い入れたいと申し入れても、派遣労働者の側が派遣先の労働条件や職場環境などに疑問を感じたときなどは、雇入れを断ることができます。

派遣元事業所が紹介予定派遣労働者として労働者を雇用するときには、その旨を明示することが義務付けられています。

平成16年3月の派遣法改正後は派遣と職業紹介を同時進行で行なうことができますが、これらは別の事業です。紹介予定派遣を行なうためには、派遣業の許可・届け出と有料職業紹介の許可・届け出の両方の条件をクリアしている必要です。

この制度を用いることによって、派遣先には、求人・採用に関するさまざまな業務を派遣先に代行させることができる、採用予定者に対して雇用のリスクをとらないで試用期間を設定できる、などのメリットがあります。

派遣労働者の側も、事前に派遣として働くことで実際の業務や職場の雰囲気などを把握することができるので、雇用のミスマッチ解消に役立つ制度であるともいわれています。

紹介予定派遣で注意することは、紹介予定派遣の期間は、6ヶ月を超えないように求められています。また派遣先が、職業紹介を受けることを希望しなかったり、紹介された労働者を雇用しなかった場合には、派遣元の求めに応じて、その理由を書面、FAXまたはEメールにより明らかにしなければなりません。派遣元は、雇用されなかった労働者の要求があれば、その理由を明らかにすることを派遣先に求めるとともに、明示された理由を当該労働者に文書で明示しなければなりません。

さらに、派遣ができない業務でも紹介予定派遣なら認められる業務として、医療機関への派遣があります。通常の医療機関への派遣は禁止されていますが、紹介予定派遣に限り、病院などへの派遣も認められるようになりました。

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派遣とは、自己の雇用する労働者を“他人の指揮命令を受けて、その他人のために労働に従事させること” です。一方、請負とは通常、労働の結果としての作業の完成を目的とするものです。注文者と労働者との間に指揮命令関係を生じるのが派遣、生じないのが請負です。

請負は、一般的には土木・建設業で広く行なわれていますが、請負業者が自己の裁量と責任の元に、自己の雇用する労働者を直接指揮して、仕事の完成にあたる点が派遣とは違います。

請負事業と認められる基準は、

(1)自分の資金で
(2)自分で雇っている労働者の労働時間などを管理して 
(3)自分で労働者を指揮し、服務規律などを守らせ
(4)自分で責任を持って必要な資金は調達し、支払いを行ない
(5)自分が業務処理について事業主としての責任を負い
(6)自分で必要な機械、設備、材料などを調達し
(7)自分の企画や専門的な技術などに基づいて業務を処理するということです。

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一般労働者派遣事業を行おうとする場合は、次に掲げる書類を事業主の主たる事務所を管轄する都道府県労働局を経由して厚生労働大臣に提出しなければなりません。また、許可申請書には、手数料として12万円+5万5千円×(一般労働者派遣事業を行う事業所数−1)の収入印紙を貼付する必要があります。例えば、2か所の事業所で行う場合の手数料は、12万円+5万5千円×(2−1)=17万5千円です。

■ 必要書類リスト

(1) 一般労働者派遣事業許可・許可有効期間更新申請書 3部(正本1通、写し2通)
(2) 一般労働者派遣事業計画書 3部(正本1通、写し2通)
(3) 次に掲げる添付書類 2部(正本1通、写し1通)

(法人の場合) 
(1)〜(3)の他に、以下の書類

・定款又は寄付行為
・登記簿謄本
・役員の住民票の写し及び履歴書
・貸借対照表及び損益計算書
・法人税の納税申告書(別表1及び4)の写し
・法人税の納税証明書(その2所得金額)
・事業所の使用権を証する書類(賃貸借契約書等)
・派遣元責任者の住民票の写し及び履歴書
・個人情報適正管理規程

(個人の場合)
(1)〜(3)の他に、以下の書類

・住民票の写し及び履歴書
・所得税の納税申告書の写し
・所得税の納税証明書(その2所得金額)
・預金残高証明書
・不動産登記簿謄本の写し
・固定資産税評価額証明書
・事業所の使用権を証する書類(賃貸借契約書等)
・派遣元責任者の住民票の写し及び履歴書
・個人情報適正管理規程

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特定労働者派遣事業を行おうとする場合は、次に掲げる書類を事業主管轄労働局を経由して厚生労働大臣に提出しなければなりません。なお、手数料(労働局に支払うもの)はかかりません。

■ 必要書類リスト

(1)特定労働者派遣事業届出書 3部(正本1通、写し2通)
(2)特定労働者派遣事業計画書 3部(正本1通、写し2通)
(3)次に掲げる添付書類 2部(正本1通、写し1通)

(法人の場合) 
(1)〜(3)の他に、以下の書類

・定款又は寄付行為
・登記簿謄本
・役員の住民票の写し及び履歴書
・事業所の使用権を証する書類(賃貸借契約書等)
・派遣元責任者の住民票の写し及び履歴書
・個人情報適正管理規程

(個人の場合)
(1)〜(3)の他に、以下の書類

・住民票の写し及び履歴書
・事業所の使用権を証する書類(賃貸借契約書等)
・派遣元責任者の住民票の写し及び履歴書
・個人情報適正管理規程

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有料職業紹介事業を行おうとする場合は、次に掲げる書類を申請者の所在地を管轄する都道府県労働局を経由して厚生労働大臣に提出しなければなりません。この場合、許可申請書には、手数料として5万円+1万8千円×(有料職業紹介事業を行う事業所の数−1)分の収入印紙を添付する必要があります。

■ 必要書類リスト

(1)有料職業紹介事業許可申請書 3部(正本1通、写し2通)
(2)有料職業紹介事業計画書 3部(正本1通、写し2通)
(3)届出制手数料届出書 3部(正本1通、写し2通)

次に掲げる添付書類 2部(正本1通、写し1通)

(1)法人に関する書類 

・定款又は寄付行為
・法人の登記簿謄本

(2)代表者、役員、職業紹介責任者に関する書類

・住民票の写し
・履歴書

(3)資産及び資金に関する書類

・最近の事業年度における貸借対照表及び損益計算書
・預貯金の残高証明書等所有している資産の額を証明する書類
・所有している資金の額を証明する預貯金の残高証明書
・最近の事業年度における納税申告書の写し(法人にあっては法人税の納税申告書別表1及び4、個人にあっては所得税の納税申告書第一表)
・最近の事業年度における法人税又は所得税の納税証明書(〈その2〉による所得金額に関するもの)

(4)個人情報の適正管理に関する書類

・個人情報の適正管理及び秘密の保持に関する規程

(5)業務の運営に関する書類

・業務の運営に関する規程

(6)事業所施設に関する書類

・建物の登記簿謄本(申請者が所有している場合)
・建物の賃貸借又は使用貸借契約書(他人の所有物の場合)

(7)手数料に関する書類

・手数料表(届出制手数料の届出をする場合)

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次のいずれかに該当する業務は、労働者派遣事業の適用除外業務であり、これらの業務での労働者派遣事業を行ってはいけません。

(1) 港湾運送業務
(2) 建設業務
(3) 警備業務
(4) 病院等における医療関係の業務(紹介予定派遣をする場合を除く)

また、次の業務についても、労働者派遣事業を行ってはいけません。

(1) 人事労務管理関係のうち、派遣先において団体交渉又は労働基準法に規定する協定の締結等のための労使協議の際に使用者側の直接当事者として行う業務
(2) 弁護士、外国法事務弁護士、司法書士、土地家屋調査士、公認会計士、税理士、弁理士、社会保険労務士又は行政書士の業務
(3) 建築士事務所の管理建築士の業務

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現行法で禁止されている業務についての派遣、派遣事業者の許可を得ていない者による派遣、期間の制限を超える派遣、二重派遣などが、違法な派遣に該当します。

派遣は原則として自由に行なえますが、一部の業務についてはなお、法令等で派遣が禁止されています。派遣元が、禁止されている業務についての派遣を行なうことは当然違法です。

労働者派遣事業には、一般労働者派遣事業(許可制)と特定労働者派遣事業(届出制)の2種類がありますが、この許可や届け出を行なっている派遣事業者でも、他の派遣事業者から派遣された者をさらに第三者へ派遣する‘二重派遣’行為は違法です。二重派遣は、自己が雇用している労働者ではない者を第三者へ派遣するため、形態としては職業安定法第44条の規定により禁止されている‘労働者供給事業’に該当することとなります。

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派遣元は、派遣元責任者を選任しなくてはなりません。派遣元責任者の職務は事業主に代わって派遣労働者へ対応するため、きわめて重要です。派遣元責任者になれるための主な要件は次のように定められています。

(1) 事業所専属の者として、派遣元の雇用する労働者のなかから選任すること(代表者でもよい)
(2) おおむね事業所の派遣労働者100人につき1人以上を選任すること
(3) 成年に達したあとに一定期間、雇用管理経験があること
(4) 「派遣元責任者講習会」を、許可申請前5年以内に受講した者であること

その後、派遣元責任者になってからの役割は次のとおりです。

(1) 労働者に派遣労働者として雇い入れる旨を明らかにすること
(2) 派遣労働者に就業の条件を明らかにすること
(3) 派遣する労働者の氏名や社会保険の加入状況などを派遣先に通知すること
(4) 派遣元管理台帳の作成、記帳および保存
(5) 派遣労働者に対して必要な助言および指導をすること
(6) 派遣労働者から申し出を受けた苦情の処理
(7) 派遣労働者の個人情報の管理
(8) 派遣労働者の安全衛生に関して、派遣元の安全衛生担当者および派遣先との調整
(9) 上記のほか、派遣先との連絡調整

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派遣労働者に時間外や休日に労働をさせるには、派遣元と派遣労働者とのあいだで36協定が結ばれていることが必要です。

36協定とは、法定労働時間を超えて従業員に労働をさせる場合に、‘過半数を超える従業員を組織する組合の代表、または従業員を代表する者’とのあいだで結ぶ、“時間外および休日労働に関する協定”のことです。

ただし、派遣元と派遣労働者とのあいだで36協定が結ばれていても、それだけでは、派遣先が派遣労働者に対し時間外・休日労働を命令できる根拠にはなりません。

派遣先が派遣労働者に時間外・休日労働を命令するためには、36協定の締結に加え、労働者派遣契約書や派遣労働者への労働条件明示書にも時間外・休日労働に関する事柄が記載されていることが必要です。したがって、派遣労働者に時間外・休日労働をさせる可能性がある場合には、派遣契約締結の際に、時間外・休日労働の有無と、それがある場合の時間数、時間外の料金の支払いについてを定めておく必要があります。

派遣先が派遣労働者に要求できる時間外や休日労働時間の上限は、派遣元の36協定に定められている時間となります。もし、36協定を上回る時間外労働をさせた場合は違法行為となり、派遣先事業所が処罰の対象となります。

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派遣労働者も、
(1) 6ヵ月以上継続して勤務していること
(2) 全労働日の8割以上出勤していること
という要件を満たしていれば有給休暇を取得することができます。

2ヵ月契約や3ヵ月契約といった短期契約の場合でも契約を更新して6ヵ月以上働いていれば、@の要件を満たします。また、派遣先が違っても、同じ派遣会社から派遣されて実質的に6ヵ月以上継続して働いていれば大丈夫です。

有給休暇付与についての責任は、派遣会社が負っています。有給休暇を取るときには、一般的には前日までに派遣会社に申し出ればいいことになっていますが、仕事の都合上、派遣先にも連絡するケースがほとんどです。しかし、派遣先の承認を得なければならないというのは違法です。

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派遣労働者も、雇用期間が2ヵ月以上であれば、社会保険に加入することができます。契約期間が1ヵ月であっても、更新して2ヵ月以上働いていればこれに該当します。また、勤務時間が短いケースでも、1日または1週の労働時間および1ヵ月の労働日数が、派遣先で同じような仕事をしている人の4分の3以上であれば、加入資格があります。

派遣労働者は、派遣会社で社会保険に加入します。また、社会保険料は、派遣会社と派遣労働者が折半して支払うことになっています。改正労働者派遣法では、派遣会社に、派遣労働者が社会保険・雇用保険に入っているかどうかを、派遣先に通知することを義務づけました。一方、派遣先に対しては、社会保険・雇用保険に加入している派遣労働者を受け入れることとしています。

ところが、派遣会社のなかには、社会保険に加入を希望する人は時給をカットする、という取り扱いをしている会社があるようです。これは、社会保険料の会社負担分を少しでも減らそうというもので明らかに違法行為です。

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派遣労働者も、要件を満たせば雇用保険に加入できます。社会保険と同様、派遣労働者は派遣会社で雇用保険に加入します。
雇用保険の加入要件は、次の2つです。

(1) 同じ派遣会社に1年以上引き続き雇用されることが見込まれること
(2) 1週間の所定労働時間が20時間以上であること

1年以上の雇用については、短期契約であっても更新して1年以上派遣されることが見込まれる場合を含みます。また、契約と契約の間が若干あく場合でも、その状態が1年以上続く見込みがあるならこれに該当します。“若干の間があく”とは、1ヵ月契約を数日間の間隔で繰り返すケース、2ヵ月程度の就労を1ヵ月以内の間隔で繰り返すケースのことをいいます。この場合、派遣先が変わっても差し支えはありません。雇用保険の適用は、派遣先ではなく派遣会社との雇用関係で判断されることになっています。

社会保険と雇用保険はセットでなければ入れないと言う派遣会社があるようですが、これは間違いです。雇用保険には単独で入れることになっています。

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派遣に先立って派遣先が行う面接は、雇用主が行う“採用”行為にあたり、労働者派遣法違反です。労働者派遣では、誰を派遣先に派遣するかの決定権は、あくまでも派遣会社にあるのです。

派遣会社は「スタッフの側も、事前に派遣先を見ておくほうがいいだろう」などと言いますが、実際には、3人面接を受けたが派遣されたのは1人だけ、というケースもあるのです。また、派遣先が複数の派遣会社にオーダーを出し、事前面接を行ってスタッフを選定するケースもあります。
改正労働者派遣法では、派遣先による「派遣スタッフの特定を目的とする行為」が明確に禁止されました。「特定を目的とする行為」とは、次のようなものをいいます。

(1) 労働者派遣に先立って面接すること
(2) 派遣先に派遣スタッフの履歴書を送付させること
(3)‘35歳まで’といった年齢限定注文をすることなど

なお、派遣会社がこれに協力する行為も禁止されています。

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派遣労働者が、派遣先に直接雇用されること自体は、なんら問題ありません。ただし、契約期間の途中で、派遣先の社員になるからと派遣会社との契約を打ち切ると、契約不履行としてクレームをつけられる可能性があります。したがって、契約期間満了まで待って、派遣会社に次回は更新しないことを伝えた後で派遣先と雇用契約を結ぶのがいいでしょう。

契約期間満了後の派遣先への雇用であっても、派遣会社は自社のスタッフを失いたくないために、これを妨害したりするケースがあるようですが、こうした妨害自体が違法行為です。労働者派遣法では、労働者派遣契約や雇用契約に、派遣スタッフが派遣先に雇われることを禁止する内容を入れることを禁じています。また、派遣会社が派遣先に対して、「もしスタッフを雇用した場合は損害賠償請求をする」と伝えていたケースがありましたが、当然のことながらこれも違法行為です。

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派遣先から、さらに別の企業に派遣され、その企業の指揮命令を受けて働くことを“二重派遣”といいます。

労働者派遣とは「自ら雇用する労働者を派遣先の指揮命令下で働かせることをいい、かつ派遣先がその労働者を雇用しないものをいう」と定義されています。派遣先が別の企業(第二の派遣先)にスタッフを派遣する行為は、職業安定法で禁止されている‘労働者供給’にあたります。労働者供給を行った派遣先も受け入れた第二の派遣先も処罰を受けます。また、二重派遣がなされることを知ったうえで派遣した派遣会社も処罰されます。

この処罰を受けることを避けようと、派遣先から第二の派遣先へ派遣する際に「業務委託」という形をとるケースを見受けます。しかし、第二の派遣先の指揮命令を受けて働くならば、それは業務委託を偽装したもので、労働者供給以外のなにものでもありません。

→ 労働者派遣事業コンサルティング


 
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労働者派遣法においては、専ら労働者派遣の役務を特定の者に提供することを目的として行われる労働者派遣事業を禁止しています。

一般労働者派遣事業については、専ら労働者派遣の役務を特定の者に提供することを目的として行われるものでないことを許可基準としており、これを満たさない場合は一般労働者派遣事業の許可を受けることができません。また、許可基準として「専ら労働者派遣の役務を特定の者に提供することを目的として行うものではないこと」を付していることから、これに違反した場合には許可の取消し、業務停止命令の対象となります。

ここで「特定の者」とは、一つであると複数であるとを問わず対象が特定されていることをいいます。また、「専ら労働者派遣の役務を特定の者に提供することを目的」としているかどうかについては、定款等の事業目的だけでなく、派遣先の確保のための営業活動の努力が行われているか、特定の者以外からの労働者派遣の依頼を正当な理由なく拒否していないか等、事業運営の実態に照らし、客観的に判断されます。

ただし、労働者派遣事業を行う派遣元事業主が雇用する派遣労働者のうち、10分の3以上が60歳以上の者(ただし、他の事業主の事業所を60歳以上の定年により退職した後受け入れた者に限る)である場合には、雇用の機会の確保が特に困難であると認められる労働者の雇用の継続等を図るために必要であるとして、「専ら労働者派遣の役務を特定の者に提供すること」が認められており、このような場合には、厚生労働大臣の勧告の対象にもなりません。

→ 労働者派遣事業コンサルティング


 
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派遣期間満了後の取り扱いは次のようになっています。

(1) 派遣先は、派遣元事業主から派遣可能期間について通知を受けた派遣期間満了日後に使用したいとき、また、派遣労働者が派遣先に対して雇用されることを希望する者の場合は、派遣先は派遣労働者に対して雇用契約の申込みをしなければならない。

(2) 派遣先は、派遣先の事業所又はその他の派遣就業の場所ごとの同一の業務について、派遣元事業主から3年を超える期間継続して同一の派遣労働者に役務の提供(勤務)を受けている場合は、当該同一の業務に労働者を従事させるため、3年が経過した日以後労働者を雇い入れようとするときは、その労働者に対し、雇用契約の申込みをしなければならない。

したがって、派遣先は3年を超えて使用しているときは十分に注意し、うっかり超えることのないようにあらかじめチェックしなければなりません。

派遣先の事業主としては、派遣期間を3年以内の期間で必要な期間契約して、派遣労働者の派遣を受け入れればよいのですが、その期間について3年を超えて派遣することはできません。

したがって、万一3年を超えて派遣労働者を使用した場合、社員として採用することが義務付けられていることを忘れてはなりません。

→ 労働者派遣事業コンサルティング


 
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派遣労働者の就業時間等の管理は派遣元事業主が行うことから、就業規則の作成は派遣元事業主が行うこととなります。したがって、派遣労働者とそれ以外の労働者を合わせて常時10人以上の労働者を使用している派遣元事業主は、就業規則を作成しなければなりません。

就業規則に定める事項は次のとおりです。

(1) 始業及び終業の事項、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を2組以上に分けて交替に就業させる場合においては就業時転換に関する事項
(2) 賃金の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項
(3) 退職に関する事項(解雇の事由を含む)
(4) 退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項
(5) 臨時の賃金等及び最低賃金額の定めをする場合においては、これに関する事項
(6) 労働者に食費、作業用品その他の負担をさせる定めをする場合においては、これに関する事項
(7) 安全及び衛生に関する定めをする場合においては、これに関する事項
(8) 職業訓練に関する定めをする場合においては、これに関する事項
(9) 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する定めをする場合においては、これに関する事項
(10) 表彰及び制裁の定めをする場合においては、その種類及び程度に関する事項

→ 労働者派遣事業コンサルティング


 
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派遣先は、派遣先において労働者派遣された派遣労働者に関する就業の管理を一元的に行う派遣先責任者を選任し、派遣先における派遣労働者の適正な就業を確保することが必要です。

派遣先は、派遣先責任者の選任に当たっては、労働関係法令に関する知識を有する者であること、人事・労務管理等について専門的な知識又は相当期間の経験を有する者であること、派遣労働者の就業に係る事項に関する一定の決定、変更を行い得る権限を有する者であること等派遣先責任者の職務を的確に遂行することができる者を選任するよう努めなければなりません。

また、派遣先責任者は、次の方法により選任しなければならないこととなっています。

● 事業所その他派遣就業の場所ごとに専属の派遣先責任者として自己の雇用する労働者の中から選任しなければなりません。

● 派遣労働者の数100人ごとに1人以上を選任しなければなりません。ただし、派遣労働者の数とその派遣先が雇用する労働者の数を加えた数が5人以下のとき又は労働者派遣の期間が1日を超えない場合については、選任する必要はありません。

● 物の製造の業務に50人を超える派遣労働者を従事させる事業所では、原則として、物の製造の業務に従事する派遣労働者100人当たり1人以上、物の製造の業務に従事する派遣労働者を専門に担当する派遣先責任者(製造業務専門派遣先責任者)を選任しなければなりません。ただし、製造業務専門派遣先責任者のうち1人は物の製造の業務以外の業務に従事する派遣労働者を併せて担当することができます。

なお、派遣先責任者を選任しなかった場合は、労働者派遣法第61条第3号に該当し、30万円以下の罰金に処せられる場合があります。

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派遣元事業所における適正な雇用管理及び事業運営の適正化に資するため、派遣元責任者に対し、労働者派遣法の趣旨、派遣元責任者の職務、必要な事務手続き等についての知識、情報を提供する「派遣元責任者講習」が実施されています。

派遣元事業所における派遣労働者の雇用管理の責任を一元的に負うこととなる派遣元責任者については、労働者派遣事業に関する知識、理解が十分であることが必要です。そこで、一般労働者派遣事業の許可基準において、派遣元責任者については派遣元責任者講習を許可申請の受理の前5年以内に受講していることが必要となっており、また、これは有効期間の更新の際にも同様となっています。

さらに、派遣元責任者として選任された後においても、労働者派遣事業に関する知識、理解を一定の水準に保つため、一般労働者派遣事業において選任された派遣元責任者については、派遣元責任者として在任中は5年ごとに派遣元責任者講習を受講すること、特定労働者派遣事業において選任された派遣元責任者についても可能な限り当該講習を受講することが望ましいとされています。

派遣元責任者講習は職業安定局長が委託した機関によって、全国各地域で実施されています。内容は労働者派遣法の趣旨、派遣元責任者の職務、必要な事務手続き等についての知識、関係法令の適用等であり、講習の対象は派遣元責任者、派遣元事業主、派遣元責任者として選任されることを予定する人で、講習期間は1日です。

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日数限定業務とは、その業務が1ヵ月間に行われる日数が、当該派遣就業に係る派遣先に雇用される通常の労働者(原則として正規の従業員)の1ヵ月間の所定労働日数の半分以下、かつ、月10日以下である業務をいい、日数限定業務に該当する場合には、派遣受入期間の制限なしに労働者派遣を受けることができます。

日数限定業務に該当するためには、その業務が、通常の労働者の1ヶ月間の所定労働日数の半分以下、かつ、月10日以下しか行われない業務であることが必要です。したがって、「通常の労働者の1ヶ月間の所定労働日数の半分以下、かつ、月10日以下」を超える日数行われている業務を分割又は集約し、その一部を「通常の労働者の1ヶ月間の所定労働日数の半分以下、かつ、月10日以下」となる範囲において派遣労働者に従事させ、他の日は派遣先に雇用されている従業員のみで対応するような場合は、日数限定業務には該当せず、派遣受入期間の制限を受けることとなります。

例えば、月15日発生する業務について分割し、月10日間を派遣労働者に従事させ、残りの月5日間を派遣先に雇用されている従業員に行わせるような場合は、その業務は月15日間行なわれていることから、日数限定業務に当たりません。

なお、日数限定業務に該当する業務としては、例えば、書店の棚卸し業務や、土日のみに行われる住宅展示場のコンパニオンの業務などが想定されます。

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派遣受入期間の制限のある業務について、1年を超えて3年以内の期間、労働者派遣を受けようとする派遣先は、あらかじめ、派遣先の労働者の過半数で組織する労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見を聴いたうえで、派遣受入期間を定めなければなりません。

意見聴取の際、派遣先は過半数組合等に、次に掲げる事項を書面により通知しなければなりません。

(1) 労働者派遣の役務の提供を受けようとする業務
(2) 労働者派遣の役務の提供を受けようとする期間を新たに定める場合にあっては、当該業務に労働者派遣を受けようとする期間及び開始予定時期

また、派遣先は、当該派遣受入期間を定めるに当たっては、次に掲げる事項を書面に記載し、当該労働者派遣の終了の日から3年間保存しなければなりません。

(1) 意見を聴取した過半数労働組合の名称又は過半数代表者の氏名
(2) 過半数組合等に通知した事項及び通知した日
(3) 過半数組合等から意見を聴いた日及び当該意見の内容
(4) 意見を聴いて、労働者派遣の役務の提供を受けようとする期間又は変更しようとする期間を変更したときは、その変更した期間

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派遣システムは派遣元、派遣先、派遣スタッフの三者関係で成り立っているため、不安定な関係にあり、問題が起こりやすくなっています。トラブルとして多いものに「派遣元の対応に関するもの」「契約期間に関するもの」などがあります。

派遣労働関係には2つの契約が介在します。1つは派遣元と派遣先との間で交わされる“労働者派遣契約”、そして、もう1つは派遣元と派遣スタッフの間で交わされる“派遣労働契約”です。中途解約の問題のほとんどは、派遣先が何らかの事情で労働者派遣契約の解約を申し出たために、その派遣契約をベースに派遣元が派遣スタッフと締結していた派遣労働契約を解約しようとするときに発生します。派遣元はベースとなる派遣契約が解除されたのだから派遣労働契約を解除するのも当然だと考えるかもしれませんが、これら2つの契約は別個のものです。

2つの契約の間に密接な関係が存在することは否めませんが、派遣契約が解除されたからといって、自動的に派遣労働契約が解除されるものではありません。期間の定めのある雇用契約(=派遣労働契約)の場合、契約期間中はやむを得ない事情がない限り、解除できず、当事者の一方の過失によって契約を解除したときは、損害賠償の責任を負うというのが民法の原則です。この点をきちんと理解していないと、トラブルとなってしまいます。不幸にして派遣契約の解除が発生したとき、派遣元はスタッフに対し別の仕事を紹介しなければならず、それができない場合は、休業手当(平均賃金の60%)を支払う必要があります。

→ 労働者派遣事業コンサルティング


 
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派遣会社の経営上のメリットとは何でしょうか。

第一に、派遣事業は“固定費”を抱えないですむというメリットがあります。派遣スタッフの仕事がなければ、給料を支払わなくてよいからです。(ただし、特定労働者派遣事業の場合は、そうとはいきません)景気が悪化して派遣先のオーダーが入らなくなればそれはもちろん厳しい経営環境をむかえることにはなりますが、在庫を抱えないですむために、不況倒産という悲劇はあまり例がありません。もちろん、経営者の放漫経営などが直接の引き金となって廃業に追い込まれることはありますが…。

第二は、事業に時代性があるというメリットです。バブル不況以後の産業界はリストラを行い、組織のスクラップ・アンド・ビルドは進展しています。そうした中で、仕事における常用労働者と非常用労働者との区別が明確となってきています。非常用労働者の確保で、派遣会社に依存するケースは増加する一方だろうと思われます。また、働く側の就業意識も多様化してきて、非常用労働を求める人も増えています。

第三として、事業に社会的意義があるというメリットです。派遣システムが企業のリストラに側面的にプラスになっていて、かつ、雇用の促進にも貢献しています。雇用流動化時代にあっては、派遣で働くしくみはその意味で大いに威力を発揮しつつあります。それに何より、多くの派遣スタッフが「派遣」というしくみを支持しています。今や、派遣は社会になくてはならない制度になっています。

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  実務で役立つ文書契約の進め方
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派遣のしくみは、派遣先、派遣元、派遣スタッフの三者で構成されています。すなわち、派遣スタッフは派遣元と派遣労働契約(雇用契約)を交わし、派遣先と派遣元との間で締結される労働者派遣契約にしたがって派遣先事業所に配属され、派遣先の指揮命令にしたがって業務の処理を行ないます。

派遣スタッフの雇用主は派遣元ですが、指揮命令を出すのは派遣先です。雇用上の問題の一切は派遣元が負い、仕事の進め方と日々の管理、評価については派遣先がその責任を負うことになります。派遣先、派遣元が派遣スタッフの使用と雇用を役割分担するわけですから、双方の密接な連絡と協力が求められます。

派遣を受け入れるにあたって、派遣先は派遣元との間で労働者派遣契約を取り交わさなければなりません。契約書の書式は派遣元によってさまざまですが、契約の内容は労働者派遣法で定められており、全て同一です。次に契約と管理に必要な手続きや心得を、派遣先を中心にして説明していきます。

◆ 労働者派遣契約の手順

(1) 基本契約を取り交わす
  基本契約について法律の定めはありませんが、商取引上で派遣先、
  派遣元双方が文書で確認しておいた方がよい場合に取り交わします。

(2) 労働者派遣契約書を取り交わす
  労働者派遣契約書の書式は通常の契約書と同様です。
  ただし、記載すべき内容は労働者派遣法で定められています。

 [労働者派遣契約書に記載すべき主な内容]
 ・ 派遣労働者が従事する業務の内容
 ・ 派遣労働者が労働者派遣に係る労働に従事する事業所の名称及び所在地
 ・ 労働者派遣の期間及び派遣就業をする日
   など

(3) 派遣先の責任者を選定する
  派遣システムを適正に機能させる上で、派遣元同様、
  派遣先に対しても責任者を置くことを法律で定めています。
  派遣先責任者は企業の規模などにもよりますが、人事課長またはそれに準ずる人がその任にあたり、
  派遣スタッフの就業管理を行っています。

◆ 管理の手順

(1) 派遣先管理台帳の整備と管理を行う
  派遣先は人材派遣を導入する際に「派遣先管理台帳」を作成する必要があります。
  様式の指定は特になく、派遣元が派遣先用に作成した管理台帳の用紙を用意しているケースが
  多いようです。また、3年間の保存義務があります。

(2) 就業現場の指揮命令者を選考する
  派遣契約を締結すれば、派遣されたスタッフを有効に活用する指揮命令権が派遣先に発生します。
  この場合、業務処理を就業規則で直接指導する担当者を「指揮命令者」と呼んでいます。
  通常、スタッフが直接派遣される現場の課長、係長クラスが担当します。

(3) 指揮命令者も契約内容を確認する
  派遣スタッフに契約以外の仕事をさせてしまうと違法行為となり、トラブルの原因となりかねません。
  契約に定めた業務に付随する、いわゆる、“周辺業務”の指示は程度の問題と解釈されますが、
  全く異なる仕事を命じて、それが派遣契約で明示した仕事の量を大幅に上回る場合には、
  問題が生じかねません。したがって、指揮命令者も契約内容をよく確認しておく必要があります。

◆ 派遣スタッフへの就業条件の明示

  派遣元は、派遣が決定した派遣スタッフに対し、労働者派遣をする旨およびその派遣スタッフに係る就業条件を
  明示しなければなりません。明示すべき主な就業条件は次のとおりです。

 ・ 派遣労働者が従事する業務の内容
 ・ 派遣労働者が労働者派遣に係る労働に従事する事業所の名称及び所在地
 ・ 労働者派遣の期間及び派遣就業をする日
   など

  就業条件の明示は、労働者派遣に際し、あらかじめ、明示すべき事項を書面に記載し、
  その書面を個々の派遣労働者に交付することにより行わなければなりません。

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  人材派遣会社の成功のポイント
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◆ 「百貨店方式」から「専門店方式」へ
大手派遣会社のような「派遣なら何でも対応します」という「百貨店方式」ではなく、特定の業務に特化した「専門店方式」を考える必要があるでしょう。ただ、専門特化した場合にはメリットもデメリットもあります。メリットは、特徴という点で同業他社との差別化が明確となり、顧客に対するアピールは強力になります。デメリットは売上高が百貨店方式と比較して伸びにくいという点です。しかし、特に専門性の高い業務を取り扱う専門店方式の場合、派遣料金を高めに設定することもできますし、高いクオリティーが評判になれば、売上高、利益率とも伸びてきます。実際、アメリカで近年注目されている派遣会社の多くは、専門店方式の会社です。

◆ 「受注型営業」から「提案型営業」へ
人材派遣会社の収益のシステムは仕入れと販売にあります。仕入れとはスタッフ募集であり、販売とは派遣先の確保です。派遣事業はまず「仕事ありき」からスタートします。派遣先の仕事が発生してそれを処理するスタッフを募集して配置するという手順だからです。ゆえに、仕事開拓の営業社員の成否が売上高をあげるキー・ポイントとなります。これまではフットワークのよい営業社員が一日何十件という派遣先を訪問して受注する営業が主流でしたが、同じ手法で営業開拓しても始まらないという考えが芽生えてきました。すなわち、派遣先の派遣活用事例を体系化して、それをサンプルにセールスするという提案型営業です。その方が顧客にはわかりやすいというメリットがある反面、派遣元としては需要を創出する点でメリットがあります。

◆ 60歳以上の高齢者の活用
信販会社の督促部門に高齢者を活用している事例があります。督促業務はほとんどが電話を利用するデスクワークなので、体力はいらないし電話でのやり取りはベテランだけにうまく、まさにうってつけです。小さいスペースで掲載する募集広告にたくさんの高齢者が応募してくるため、採用にかかるコストも安上がりというメリットもあります。事務部門のスタッフというと「女性スタッフ」というのは誤りで、コストダウンを図り、高齢者の雇用促進という社会的意義を満足させる商品作りは知恵の差といえるでしょう。

◆ 派遣先メリットの具体的実現
派遣先が派遣を受け入れるメリットとは、第一に、常用社員と比較した場合のコストメリットであり、第二に、雇用責任が軽減されるメリットです。しかし、派遣の受入れ人数が増えていくとやはりコストメリットはあまりないことに気づき、その打開策が必要になってきます。ある派遣先に派遣しているA社が特定の仕事を処理するのに10人を要していたのを8人で対応可能な提案を行い、実際に業務分析を行って2人の減員を実現させたB社などは派遣先のメリットを具体的に実現させたよい例です。オーダーのすべてを派遣先に委ねず、自ら研究して顧客満足を図らなければなりません。

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人材派遣会社の経営のしくみ
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人材派遣会社の経営のしくみは大きく分けて、“販売部門”、商品の“仕入部門”、請求・仕入管理や社員の給与管理を行う“業務部門”の3部門で成り立っています。

◆販売部門
この部門は配属された営業担当者が、日々、派遣活用を勧めるための顧客開拓と増員拡大を目的とした取引継続中の既存顧客フォローに動き回っている部門です。営業担当者として新卒を採用する派遣会社もありますが、スタッフとの人間関係構築力が必要であったり、顧客である企業の人事部がそれなりの役職を持った人たちでもあるので、新規開拓といえどもそこそこの年齢の営業担当者が必要となります。通常、営業担当者は新規開拓をしながら取引の始まった企業のフォローも行い、その担当数は2けたに上る場合もあり、また、営業担当者の業務経験年数によってその担当件数に差が生じると考えられます。既存顧客フォローでは派遣先担当者にスタッフの評価や増員の予定はないかなどを取材したりします。そのついでに就業中のスタッフにも顔を出して「がんばってますか」などと声をかけるケアも忘れてはなりません。

◆仕入部門
この部門で働く人たちは、コーディネーターやカウンセラーと呼ばれています。派遣スタッフと派遣先とをコーディネートしたり、派遣スタッフがこのシステムで働く上での悩みをカウンセリングするなどの意味でこのように呼ばれています。この部門で働くコーディネーターの多くは女性で、20代半ばから30代後半までの女性が大半を占め、登録面接を通してスタッフのキャリアや指向を判断したり、営業担当者が受注した派遣先希望との折衝を図ったりしています。また、コーディネーターは登録予備軍からの電話問い合わせとその予約、面接インタビューとスキルチェックなどもこなしています。さらに、スタッフ募集記事作成にあたっては広告代理店との折衝もこの部門が行うことが多いようです。

◆業務部門
この部門は、一般企業でいえば人事、総務、請求と支払い管理といったところでしょうか。担当業務は大きく分けて3つあります。

1. 請求管理
つまり、派遣スタッフがつけるタイムシートの管理です。

2. 給与管理
タイムシートを基にした給与の管理です。タイムシートはそれぞれ派遣会社が独自のフォーマットで作成しており、4枚つづり(1.スタッフの控え 2.派遣先の控え 3.派遣元の控え 4.請求書に添付するための控え)になっているケースが多いようです。

3.行政への諸手続き事務
許可申請手続きは派遣事業開始の時に行われていますが、この事業にはその他にも法律で定められた事業報告と更新手続きがあります。

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平成18年5月施行予定の新会社法において、実務上で必要となるポイントを3つ挙げると次のようになります。

1.有限会社の廃止
新会社法がスタートしたら、新たに有限会社をつくることが不可能になります。ただし、これまでの“有限会社”が強制的に廃止させられるわけではなく存続することはできます。また、簡単に“株式会社”に変更させることもできます。見方によっては、有限会社を存続させておくことにより 「歴史のある会社だ」 と思われるかもしれません。

2.資本金は1円から
これまで有限会社は最低300万円、株式会社は最低1000万円を資本金として設立時に用意しなければなりませんでした。しかし、新会社法ではこんな大金を用意せずに1円からで会社を興すことができます。また、2003年から、特別な手続きを経れば“1円会社”の設立が認められていますが、これからはその特別な手続きもいらなくなります。

3.取締役は1人でいい
有限会社はこれまでも取締役が1人でもよかったのですが、株式会社は最低3人の取締役が必要で、さらに取締役全員による集会「取締役会」を最低3ヵ月に1回開かなければなりませんでした。これが、株式会社でも取締役が1人でよくなりました。

会社設立等手続き


 
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現行では、株式会社は、取締役会を設けて、取締役を3人以上、監査役を1人以上選ばなければなりません。しかし、新会社法では、取締役を何人にするか、取締役会を設けるかといった会社の機関を一定のルールに従って自由に決めることができます。

会社は、次のルールに基づいて、会社にどのような機関を置くのかを決めることになります。

【中小企業の機関設計の4原則】
(1) すべての会社は、株主総会のほか、取締役を置かなければならない。
(2) 株式譲渡制限会社は、取締役会(取締役が3人以上必要)を置くか置かないかを選択できる。
(3) 取締役会を置かない会社は、取締役は1人以上でよく、監査役を置く必要もない。
(4) 取締役会を置く会社は、監査役か会計参与等を置かなければならない。

オーナー企業のほとんどは、株式譲渡制限会社ですから、このルールによると、もっともシンプルな機関設計は、株主総会のほか、取締役1人でいいということになります。現行の有限会社のような機関の設計が、株式会社でも認められるようになります。

また、取締役会を置かない会社は、いままで取締役会で決めていたことは株主総会で決めるようになるなど、株主の権限が今まで以上に強くなります。しかし、経営者自身が株主であるような会社の場合は気にする必要はないでしょう。

会社設立等手続き


 
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ほとんどの株式会社は、定款に「当会社の株式を譲渡するには、取締役会の承認を得なければならない」という規定を設けています。この“譲渡制限規定”は、株主対策の一つになっています。ある株主が、会社にとって好ましくない人に株式を売ってしまったら、会社は困ります。しかし、この譲渡制限規定を設けている会社の場合は、株主がだまって株式を売ることを認めず、必ず「会社の承認を得ること」という条件を付けているので、株主が勝手に株式を売ることを防げます。

株式を売る相手を会社が認めなければ、株式を売りたい株主は、代わりに買ってくれる人を会社に指定してもらうことができます。株式を上場している会社は、このような制限があると株式流通の阻害となるので、この規定を設けてはいけないこととなっています。ですから、敵対的買収も起こりうるのです。

新会社法では、すべての種類の株式にこの譲渡制限規定がある会社のことを「株式譲渡制限会社」として、この非公開的な会社の実情に応じた次のような制度を認めています。

(1) 取締役会を置かなくてよい(1人取締役の会社を認める)
(2) 原則、取締役は2年、監査役は4年とされている任期を最長10年まで延ばせる
(3) 監査役を置く場合は、監査役の権限を会計監査に限定できる
(4) 定款に株券発行の定めがあっても、株主からの請求がない限りは株券を発行しなくてよい

改正の目玉となるこれらの制度を受けるには、すべての種類の株式に譲渡制限規定を設けた「株式譲渡制限会社」であることと定款でこれらの制度を採用していることが必要です。

会社設立等手続き


 
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新会社法で新しく認められる制度を採用するには、定款でそのことを定める必要があります。新会社法における改正の恩恵を十分に受けるためにも、“定款”の役割はますます重要になってきます。

株式会社をつくる際には、会社内のルールを決めた定款が必要です。設立時に作成する定款は、公証役場で認証を受けなければなりません。このとき、収入印紙4万円と、公証役場の認証料5万円と謄本料がかかります。この最初の定款を“原始定款”と呼んだりします。

設立後、株主総会で定款の内容を変更しても、再度、定款の認証を受ける必要はありません。定款の認証は、最初の1回限りです。

定款は、法律の改正や会社の運営方針によって変更されていくものです。商号の変更、事業目的や会社の所在地の変更などは、すべて、会社のルールブックである定款の変更をともなうものです。

定款を変更するには、まず、株主総会で話し合い、通常は、株主総会の特別決議による承認が必要となります。その後、会社の謄本への記載が必要な事項は、登記申請の手続きをとらなければなりません。

登記申請時の添付資料として、定款を変更したことを決めた株主総会の議事録が必要です。しかし、株主総会の議事録をつくる会社でも、定款は直さずに設立したときのままになっている会社がよくありますが、変更のつど、定款を修正し、保存しておいたほうがよいでしょう。“原始定款”は、設立の証拠として重要な書類ですが、定款は、必要に応じて見直され、変更されるべきものです。

新会社法では、定款の役割が今まで以上に重要になっています。取締役会を置くかどうか、監査役を置くかどうか、役員の任期を何年にするかなどは、定款に定めることによって認められます。また、有限会社を株式会社に移行する場合や、1円会社の解散の要件の削除なども、定款の記載事項の変更が必要です。

以上、述べたとおり、すでにある会社が、これらの改正ポイントを会社運営に反映させるには、まず、定款の変更手続きが必要となるのです。

会社設立等手続き


 
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取締役や監査役といった会社の機関の一つとして、新しく“会計参与”という資格がつくられます。税理士・公認会計士等の会計の専門家が会計参与になることができます。

上場企業や大会社については、第三者の公認会計士や監査法人が決算書のチェックをしています。中小企業にも決算書のチェック機能が必要ではないかという考えはありますが、次のような課題があります。

(1) 中小企業にとって、会計のチェックができる専門性の高い人員を雇う余力はない
(2) 監査役が置かれていても、チェック機関として機能している会社が少ない
(3) 監査法人等の監査を受けるには、コストが高すぎる

そこで、過大な負担がなく決算書などの信頼性を高めるための制度として、税理士や公認会計士を会社の機関に組み入れ、決算書などの計算書類を取締役と共同で作成させる制度として“会計参与制度”が創設されました。

この制度の設置は、会社が自由に選択でき、会社の定款でその設置を定めることができます。会計参与の氏名・名称は、登記事項として会社の登記簿謄本に記載しなければなりません。また、取締役会を設置した会社では、監査役の設置が必要ですが、中小企業では監査役の代わりに会計参与を設置することも認められています。

会計参与の主な職務内容は以下のとおりです。
(1) 計算書類について、取締役と共同して作成する
(2) 計算書類について、株主総会で報告説明を行う
(3) 計算書類について、会社とは別に5年間の保存義務を負う
(4) 計算書類について、株主・債権者への開示を行う

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新会社法では、有限会社はなくなり、株式会社にまとめられます。このため、新会社法では、新しく有限会社をつくることはできなくなります。

新会社法の施行前につくられた有限会社の場合、いろいろな法律上の規定は株式会社の規定が使われるものの、“有限会社”という商号をそのまま使用して、業務を続けることができます。また、有限会社は役員の任期がありませんが、株式会社は役員の任期があります。このような有限会社特有の制度も、「経過措置」で、特別に認められることになっています。この「経過措置」は、ある期間だけ認めるといった期間が限定されているものではありません。この有限会社に関する措置はずっと認められることとなっています。

したがって、有限会社はなくなるといっても、すでにある有限会社については、“有限会社○○”と名乗り続けることが認められ、ほとんど今の状態のままで、業務を続けていくことができます。

新会社法の施行前につくられた有限会社には、会社名に有限会社をつけるか、株式会社をつけるかという二つの選択肢があります。株式会社にしたいけれど‘資本金がない’という方も心配は無用です。新会社法では、最低資本金という制度がなくなり、資本金が1円でも株式会社として認められるのです。つまり、有限会社は、いまの資本金を増やすことなく、そのままで、株式会社に移行できるのです。

ただし、株式会社に移行すると、有限会社特有の制度は効力がなくなりますので、役員の任期の問題などは注意が必要です。

会社設立等手続き


 
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新会社法の施行前につくられた有限会社は、有限会社という商号を使い続けるか、あるいは、株式会社に変更するかについて、決めなければなりません。

新会社法と同時に施行される「経過措置」によって、すでにある有限会社は、“有限会社○○”という商号を、今後も使い続けることができます。有限会社のままでいれば、変更の登記手続きや、看板や名刺、登録名の変更などがいらないので、費用や手間がかかりません。

新会社法では有限会社に関する規定はありませんので、有限会社という商号を使い続ける会社にも、株式会社の規定が適用されます。株式会社の規定といっても、新会社法では、最低資本金の制度がなくなり、株式会社も株式譲渡制限会社であれば、1人取締役の会社など、有限会社型の会社の形をとることが認められるので、有限会社と、制度上の違いはほとんどなくなります。すでにある有限会社は、有限会社のままでいる場合はもちろんのこと、株式会社に移行しても、有限会社型の会社の形をとれば、資本金を増やしたり、取締役の数を増やしたり、監査役を選出したりする必要はありません。

有限会社と株式会社の違いといえば、有限会社は役員の任期がないことや決算公告の義務がないことなどがあげられます。これらは有限会社に特有の制度であって、新会社法における株式会社には認められません。これらの制度は、新会社法の施行後も、有限会社という商号を使い続ける会社に限って特別に認められます。したがって、株式会社に移行してしまったら、役員の任期も決算公告の義務もあります。しかし、新会社法では、役員の任期は最長10年まで延ばすことができるようになるので、従来に比べて、すごいメリットというわけではないでしょう。

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会社を設立するときには、あらかじめその事業目的を明確にして定款に記載し、登記しなければいけません。しかし、この“目的”が適格性に欠けるとされ登記ができず、定款認証をやり直すことになって、公証役場に何度も足を運ぶはめになることがあります。

たとえば、「介護用品の販売」では認められませんが、「車椅子、紙おむつの販売」ならOK、という具合です。ただ、不思議なことに、どこそこの法務局では通ったけれど、別の法務局では通らなかったということが現実によくあります。事前に会社の本店を置こうとしている場所を管轄する法務局に確認をとることをお勧めします。(この、事前に法務局に相談し確認をとっておくことを“目的相談”といいます)

現行法では同じ商号で、同じ営業を目的として、同じ市町村内では登記ができないとなっています。なお、同じ営業か否かについては、登記事項である“会社の目的”で判断しています。

しかし、新会社法により類似商号規制が撤廃されれば、そもそも同じ営業かそうでないかの審査も必要なくなるわけですから、登記実務においても、“会社の目的”について包括的な記載が認められることとなります。実務上、商号や目的の調査には少なくとも半日から一日程度の時間がかかりますが、新会社法ではこの手間とコストがなくなりますので、かなり楽に会社をつくることができるようになります。

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これまでの商法では、株式会社・有限会社・合資会社・合名会社の4種類が用意されていました。これが新会社法では、株式会社・合同会社・合資会社・合名会社の4種類となります。また、手続きさえ踏めば、ほかの種類の会社に変更することもできます。

合同会社は、新会社法で新たに認められた会社です。その特徴は“ひと”を基本とした「人的会社」でありながら、「有限責任」である点です。つまり、社員は経営に参加しながら、合同会社の債務(借金)については、出資の額を限度に責任を負えばいいのです。

“ひと”が重視される研究開発事業、産学連携事業などには、合同事業が適しています。そして、合名・合資会社同様、法人も社員になれますので、企業同士の共同事業にも適しています。

会社の内部組織については、「定款自治」(会社の内部組織について自由に定款で定めることができるということ)が認められています。なお、信用出資や労務出資は認められておらず、株式会社と同様に、財産のみの出資しか認められていません。

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LLP(有限責任事業組合)という名のまったく新しい組織が、新会社法に関連して誕生しました。LLPはリミテッド・ライアビリティー・パートナーシップの略です。この“パートナーシップ”というのは、出資者(パートナー)たちの協力によって成立しているということを意味しています。つまり、株式会社では出資者(株主)と執行者(取締役)が分離しているのですが、LLPでは「出資者=執行者」ということになります。そのため、出資者がなにも経営にタッチしないということは禁じられています。

また、その他の特徴として、税金が会社に対してかかるのではなく、出資者一人ひとりに対してかかります(構成員課税)。LLPは“会社”ではないので法人税はかからない、という理論です。この点が合同会社との一番の違いです。これまでの会社だと、出資者が個人だった場合は、会社がまず法人税を支払い、そして個人も所得税を支払う、という二度手間がかかっていたのですが、LLPを使うとこれが個人の所得税だけですませることができます。

これまで「組合」には有限責任は認められておらず、組合員はすべての責任を負っていました(無限責任)。これだと、もし倒産した場合、あとに残った組合名義の借金はすべて組合員が返さないといけない義務を負うことになります。しかし、有限責任であるLLPならば、出資者(組合員)は、出資金額のみの責任を負うだけですみます。

さらに、LLPでは合名会社・合資会社・合同会社と同様に、利益配分を自由に決めていいルールも用意されています。

LLPは、企業同士の共同事業や専門家集団による事業などに、使い勝手のよい組織だといえるでしょう。

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会社のお金が足りないときは、資金を調達しなければなりません。資金調達の方法は、借入が一般的ですが、出資を受けて会社の資本金を増やすという方法もあります。この資本金を増やすことを「増資」といいます。

会社にとって資本金は、借入と違って返さなくていいお金です。借入金が多い場合は、この会社は危ないのではと思われがちですが、資本金が多い会社は、“この会社の財産は返さなくてよいお金から成り立っているのだ” と、安心感を持たれます。

増資は、返さなくてよい資金を増やすことなので、会社の資金繰りにも効果的です。

増資が検討されるケースは、事業の提携先が必要なお金を出資してくれる場合などです。事業で利益を出せば、その提携先(株主)には「配当」という形で利益を分配できます。また、新会社法では最低資本金の規制がなくなるので、とりあえず手元にあるお金で会社をつくってしまうケースが増えるでしょう。あとで、お金の準備ができたときに、追加で出資するという、二段階にわけた出資も考えられます。

増資の手続きについては、商法で決められています。手続きとしては、取締役(または取締役会)で株式の発行を決める → 株主への通知 → 通知から一定期間を置いたあとに、お金の払い込み → 資本金の額や発行している株式数の変更登記となります。なお、株式譲渡制限会社は、第三者割当の方法(いまの株主の持株比率と関係なく出資を受ける方法)で増資する場合には、取締役(または取締役会)だけでなく、株主総会で承認を受けなければなりません。新会社法では、資金の払い込みについての金融機関の証明書(登記の際に必要)が、残高証明等の方法にされるなど、新株発行の手続きが簡単になるよう見直されています。

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新会社法では、最低の資本金の規制はなくなり、資本金はいくらでもよくなります。資本金1000万円の株式会社であっても、減資を行い、資本金100万円の株式会社にすることができます。では、減資は、どのような場合に行われるのでしょうか。

まずは、株主にお金を返す場合です。お金が余っている会社は、「株主さんがくれたお金が多いので出資金を返金します」ということができるのです。これを「有償減資」とよんでいます。

次に、減らした資本金で累積赤字を消す場合で、減資が行われる代表的なケースです。例えば、資本金1000万円、累積赤字600万円の会社の場合、資本金600万円を赤字と相殺して、資本金400万円の会社とすることにより、赤字が消えます。これによって決算書の見栄えがよくなります。ただし、会社は赤字と資本金を消すので、株主に返金する余裕はありません。お金のやりとりはせずに、決算書の科目区分のみを変更する方法です。これを「無償減資」とよんでいます。

資本金を減らすには、まず、株主総会の決議が必要です。その後、借入先などの債権者に対して、1ヵ月以上の期間をおいて公告や通知で知らせ、意見があったら申し出てもらう機会を与えます。これを“債権者保護手続”といいます。また、減資の際には、直前期の決算について決算公告を行い、決算書の内容を知らせておくことが必要です。

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現在は、社債の発行は、株式会社のみに認められ、有限会社には認められていません。新会社法では、すでにある有限会社や、取締役1人の取締役会を置かない会社でも、社債を発行できます。社債の発行の方法については、取締役(取締役会を設置している会社は取締役会)が決めます。

社債を発行する場合には「社債管理者」を置かなければなりませんが、一定の要件を満たせば、置かなくてもよいことになっています。この要件は、いまは「社債券が50以上に分割できないようにする」などですが、新会社法では、この要件は法務省令で定められています。

簡単に社債を発行するには、「社債管理者」を置かないでよい発行の方法にしたいところです。なお、少人数私募という形式で証券取引法上の規制等を受けないためには、次の要件があります。

(1) 私募総額が1億円以下であること
(2) 社債取得申込の勧誘を行った相手方が50未満であること
(3) 社債取得者には証券会社や銀行などの金融のプロがいないこと

借入金と比べた場合の社債の発行のメリットは、返済の方法が、満期をもって元金を一括返済する点にあります。借入金は分割返済が一般的なので、借りたと同時に、返済がすぐに始まります。社債の場合は、返済期日までの3年や5年といった期間中は返済を考えなくてもよいので、この間、資金を有効に使えます。

また、社債取得者側のメリットとして、利息の税制上の取り扱いが有利という点があります。たとえば、貸付金の利息は、個人の所得税では、累進課税の税率が適用されますが、社債の利息は国税15%、地方税5%の源泉分離課税ですみます。所得が多い人ほど、この課税の取り扱いは大歓迎です。

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新会社法を読む際には、会社の形態によって適用される様々な特例が新会社法の中に盛り込まれているため、新会社法に出てくる用語の意味を正確に把握しておくことが何より重要となります。

◆ 公開会社  
  新会社法では、「発行する全部又は一部の株式の内容として、譲渡による当該株式の取 
  得について株式会社の承認を要する旨の定款の定めを設けていない会社」と定義してい
  ます。

◆ 公開会社でない株式会社(非公開会社)
  非公開会社とは、発行する全部の株式の内容として、譲渡による当該株式の取得につい
  て、株式会社の承認を要する旨の定款の定めを設けている会社のことです。

◆ 取締役会設置会社
  取締役会を置く株式会社、または新会社法の規定によって取締役会を置かなければなら
  ない株式会社のことです。

◆ 取締役会非設置会社 
  取締役会を置く必要がなく、かつ取締役会を置かない株式会社のことです。

以上の用語を使うと、「特例有限会社」は、“非公開会社で取締役会非設置会社の株式会社”ということになります。

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会社法が施行されると、現行有限会社は「特例有限会社」というものになります。「特例有限会社」とは、整備法という法律の定めるところにより、会社法の「株式会社」として存続する有限会社のことをいいます。

会社法制を一本化するために有限会社を廃止するからといって、約190万社もの数の登記がされている有限会社を廃止することは、その影響を考えればとても無理な話ですし、有限会社を経営している社長さんにとっても、とても承知できることではありません。そのため、整備法には、皆さんが不利益や影響を受けないように、「会社法の株式会社として存続すること」と「今までの有限会社と変わらないようにするための特則」が設けられており、「現行有限会社」は会社法・整備法が施行されると、自動的に準備が整えられ、現行有限会社と同様の組織形態を持つ特別な株式会社として、「特例有限会社」というものになります。

ですから、基本的に有限会社の社長さんは、会社法・整備法が施行されても、何も手続きなどをする必要はありませんし、今までと同じように会社を経営していけば良いのです。

先ほど述べた「今までの有限会社と変わらないようにするための特則」とは、例えば次のようなものがあります。

◆ 現行有限会社の“定款、社員、持分、出資1口” → 会社法の株式会社の“定款、株 
  主、株式、1株”とみなす
◆ 現行有限会社の“社員総会” → 会社法の株式会社の“株主総会”と名称が変わる
◆ 現行有限会社の“社員名簿” → 会社法の株式会社の“株主名簿”とみなす

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いわゆる一円会社(確認会社)は、「中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律」によって特例的に認められている会社です。一定の要件を満たす創業者が、経済産業大臣の確認を受けることで、設立後五年間は最低資本金制度を適用しないこととされています。では、最低資本金制度を廃止した会社法が施行されたら、一円会社はどのように取り扱われるのでしょうか。

会社法において最低資本金制度が廃止されることに合わせて、整備法によって「中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律」が改正され、特例は廃止されることになりますが、一円会社は最低資本金制度が廃止される会社法のもとで当然に存続することとなり、確認有限会社であれば自動的に通常の現行有限会社と同様の「特例有限会社」となります。

一円会社は通常の現行有限会社とは異なり、その定款には、特例を受けている関係から「解散事由」を必ず設けています。解散事由を定款に定めている以上は、会社法・整備法が施行され最低資本金制度が廃止されても、解散事由として定める「資本金の額に関する条件」を満たさない状態で五年の期日が到来すると、定款記載の解散事由に該当してしまうために会社が解散してしまいます。そのため、会社法・整備法施行後に、「解散事由を廃止するための定款変更手続き」を行う必要がありますので、十分な注意が必要です。

会社設立等手続き

 
 
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帰化の条件については、国籍法で次のように規定されています。

基本条件として

(1) 引き続き5年以上日本に住所を有すること
(2) 20歳以上で本国法によって能力を有すること
(3) 素行が善良であること
(4) 自己または生計を一つにする配偶者その他の親族の資産または技能によって生計を営むことができること
(5) 国籍を有せず、または日本の国籍の取得によってその国籍を失うべきこと
(6) 日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法またはその下に成立した政府を暴力で破壊することを企て、もしくは主張し、またはこれを企て、もしくは主張する政党その他の団結を結成し、もしくはこれに加入したことがないこと

ただし、日本人の配偶者に対しては緩和規定があり、次のような場合でも帰化の許可を受けることができます。

(1) 日本国民の配偶者たる外国人で引き続き3年以上日本に住所または居所を有し、かつ、現に日本に住所を有する者
(2) 日本国民の配偶者たる外国人で婚姻の日から3年が経過し、かつ、引き続き1年以上日本に住所を有する者

帰化をするには、帰化をしようとする者の住所地を管轄する法務局または地方法務局に本人が出頭して、書面で帰化の許可の申請をしなければなりません。申請に際して必要な書類は次のとおりです。

(1) 帰化許可申請書
(2) 親族の概要を記載した書面
(3) 各自が自筆で書いた動機書
(4) 履歴書
(5) 宣誓書
(6) 生計の概要を記載した書面
(7) 在勤および給与証明書
(8) 居宅、勤務先付近の略図
(9) 本国の戸籍謄本など身分関係を証する書面
(10) 家族の各種届出記載事項証明書(出生、死亡、婚姻等)
(11) 登録原票記載事項証明書
(12) 納税証明書(源泉徴収票、住民税、固定資産税等)
(13) 家族のスナップ写真
(14) その他(卒業証明書、在学証明書、資格等を証明する書面)

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永住者とは、法務大臣が永住を認める者をいい、その生涯を日本に生活の根拠をおいて過ごす者をいいます。
永住者の在留資格を取得したときのメリットとして、在留活動や在留期間に制限がなくなり、自由に活動することができるというのがあります。しかし、制限がないといっても、永住許可取得後も外国人であることには変わりなく、外国人登録や再入国許可は必要です。なお、永住許可取得の際には手数料(申請時に入国管理局に支払うもの)として8,000円の印紙が必要です。

永住許可の基本的条件については、次のように規定されています。

(1) 素行が善良であること
(2) 独立の生計を営むに足りる資産または技能を有すること
(3) 法務大臣が、その者の永住が日本の利益に合致すると認めたとき

なお、日本に生活の基盤があることが明らかな日本人の配偶者または子供については、前記(1)、(2)の要件は必要とされていません。

また、その他の要件としては

(1) 一般的な原則としては、10年以上継続して日本に在留していること。ただし、留学生として入国し、学業終了後就職している者については、就労資格に変更許可後、おおむね5年以上の在留歴を有していることが必要とされています。
(2) 日本人の配偶者に関しては、婚姻後3年以上日本に在留していることが必要とされます。ただし、海外で婚姻の同居歴のある場合には、婚姻後3年経過し、かつ、日本で1年以上在留していればよいことになります。

申請に際して必要な書類は次のとおりです。(一般の外国人の場合)

(1) 永住許可申請書
(2) 申請理由書
(3) 身分関係を証明する資料(日本人の配偶者は、日本人の戸籍謄本および配偶者の本国における婚姻証明書または戸籍謄本)
(4) 申請人の外国人登録原票記載事項証明書と家族全員の外国人登録原票記載事項証明書または住民票の写し
(5) 申請人または申請人を扶養する者の職業を証明する資料
(6) 申請人または申請人を扶養する者の所得を証明する資料
(7) 申請人または申請人を扶養する者の資産を証明する資料(銀行預金通帳コピーや残高証明書等、不動産登記簿謄本)
(8) 住民税課税証明書
(9) 身元保証人に関する資料(在職証明書、源泉徴収票または納税証明書、住民票の写し)
(10) 住居報告書および家族状況報告書

→ 外国人入管・婚姻手続


 
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外国人が、現在与えられている在留資格と同一の活動を行うため在留期間を越えて日本に在留する場合に必要な手続きです。
通常、「人文知識・国際業務」や「技術」等で入国した外国人の在留期間は、「3年」または「1年」となっています。
したがって、この在留期間を延長して日本で引き続き就労することを希望する場合には、在留期間満了の日までに、本人または代理人が地方入国管理局、支局、出張所等に出頭して「在留期間更新許可申請」の手続きをする必要があります。この手続きを怠って在留期間を徒過した場合には、不法残留として「退去強制」の対象となるので注意しなければなりません。
この在留期間更新の許可の手数料(申請時に入国管理局に支払うもの)は4,000円の印紙です。また、この在留期間更新の時期についての取扱いは、次のようになっています。

(1) 研修・文化活動関係は、在留期間満了の2ヶ月前から受け付けられます。
(2) 就労関係は、原則として在留期間満了の2ヶ月前から受け付けられます。
(3) 留学・就学関係は、在留期間満了の2ヶ月前から受け付けられます。
(4) 定住・日本人配偶者等は、在留期間満了の2ヶ月前から受け付けられます。

→ 外国人入管・婚姻手続


 
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在留中の外国人が、現在行っている在留活動を打ち切り、または、在留の目的を達成した後に、別の在留資格に属する活動を行おうとする場合に必要な手続きです。

例えば、留学生が日本の大学や大学院を卒業後、日本の企業に就職する場合や、日本人の配偶者として在留していた外国人女性が夫と死別し、「定住者」として在留しようとする等がこれに該当します。 なお、在留資格の変更は、在留資格の更新と異なり、いつでも変更を希望する時点で申請することができます。また、この在留資格変更の許可の手数料(申請時に入国管理局に支払うもの)は4,000円の印紙です。

例えば、大学工学部を卒業し、半導体メーカーに就職が内定した場合の必要書類を挙げると次の通りです。(この場合、在留資格が「留学」から「技術」に変更となります)

■ 在留資格変更許可申請の必要書類

(1)外国人本人が準備するもの

・在留資格変更許可申請書
・履歴書
・最終学歴証明書
・成績証明書、出席状況証明書

(2)企業が準備するもの

・雇用契約書の写し(雇用期間、職務内容、報酬額等を記載したもの)
・会社案内(社員数、社歴、業務内容等が記載されたもの)
・商業登記簿謄本(コンピュータ化が完了している法務局では、「履歴事項全部証明書」または「現在事項全部証明書」)
・決算報告書(最新年度のもの)
・外国人従業員リスト
・その他必要な書類(事案の内容によって異なる)

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外国人が、現在与えられている「在留資格」上の活動を行いつつ、その在留資格に許容されている活動以外の活動で収入を伴うものまたは報酬を受ける活動を副次的に行おうとする場合には、法務大臣の許可を得て行うことができます。

なお、活動に制限のない在留資格を有する外国人、すなわち「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」は、報酬を受ける活動に従事する場合でも、資格外活動の許可を受ける必要はありません。

資格外活動の許可は、例えば「留学生」「就学生」がアルバイトをする場合や、「人文知識・国際業務」「技術」などで日本の企業に勤めている外国人やその妻(「家族滞在」)などが報酬を得て通訳・翻訳の仕事をする場合等がこれに該当します。

なお、資格外活動許可は、留学生・就学生については、勤務先等を特定することなく事前に申請することができますが、他の在留資格の外国人は、就労先が内定した段階で申請することになります。大学等の正規生である「留学生」は、1週間につき28時間以内のアルバイトが、「就学生」は、1日につき4時間以内のアルバイトが認められています。

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‘人文知識・国際業務’とは、日本の公私の機関との契約に基づいて行う法律学、経済学、社会学その他の人文科学の分野に属する知識を必要とする業務または外国の文化に基盤を有する思考もしくは感受性を必要とする業務に従事する活動をいいます。
上陸のための基準は、申請人が次のいずれにも該当していることが必要です。

(1) 申請人が人文科学の分野に属する知識を必要とする業務に従事しようとする場合は、従事しようとする業務について、これに必要な知識に係る科目を専攻して大学を卒業し、もしくはこれと同等以上の教育を受け、または、従事しようとする業務について10年以上の実務経験によりその知識を習得していること

(2) 申請人が外国の文化に基盤を有する思考または感受性を必要とする業務に従事しようとする場合には、次のいずれにも該当していること

イ.翻訳、通訳、語学の指導、広報、宣伝または海外取引業務、服飾もしくは室内装飾に係るデザイン、商品開発その他これらに類似する業務に従事すること

ロ.従事しようとする業務に関連する業務について3年以上の実務経験を有すること。ただし、大学を卒業した者が翻訳、通訳または語学の指導に係る業務に従事する場合は、この限りではない

(3) 申請人が、日本人が従事する場合に受ける報酬と同等以上の報酬を受けること 

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日本に在留する外国人がその在留期間の満了の日以前に日本に再び入国する意図をもって出国しようとするときは、再入国の許可を与えるという制度があります。

地方入国管理局にて、定められた手続きにより再入国の許可を申請し、その許可を得て(旅券に再入国許可の証印をもらう)出国します。今度日本に入国するときは、査証もいらず、旅券を提示して入国証印を受けるだけで入国でき、しかも以前と同じ在留資格のままで在留することができます。

この再入国許可は、許可の日から3年を超えない範囲内においてその有効期間が定められていますので、有効期間内に日本に戻るようにしなければなりません。もっとも、再入国許可の有効期間内に再入国できない事情があるときは、日本の在外公館において領事館等に有効期間の延長を申請することができます。相当の理由があると認められると、1年を超えず、かつ当該許可の日から4年を超えない範囲内で有効期間の延長が許可されます。

ただ、帰国している期間が長くなり、日本における本来の在留活動がおろそかになって在留の根拠を失うようにならないように留意しなければなりません(「留学」なのに出席日数や単位取得不足で落第してしまうなど)。

また、当然のことですが、再入国許可の有効期間は在留期限を超えることはできません。在留期間が残り少ない時点で長期にわたって外国に行く必要がある場合には、まず在留期間の更新許可を得てから必要な期間の再入国許可を得るほうが安全です。

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最近は、留学生やビジネスマンの外国人が増加し、また、在留も長期化する傾向があるため、これに伴って、家族も同伴したいと希望する人が増えています。この「家族滞在」の在留資格に該当する人は、同居して、‘扶養を受ける配偶者または子供’ということですので、日本で別居して暮らすような場合には、これに該当しません。

「家族滞在」で配偶者・子供を呼ぶためには、「人文知識・国際業務」などの資格で在留している人が、“在留資格認定証明書”の交付申請をすることになりますが、そのための必要書類は、以下のとおりです。

(1) 在留資格認定証明書交付申請書
(2) 添付書類

(1) 申請人の写真(配偶者、子供それぞれ2枚)
(2) 配偶者との婚姻証明書(公証書にして、日本語翻訳が必要)
(3) 子供の出生証明書(公証書にして、日本語翻訳が必要)
(4) 本人の外国人登録原票記載事項証明書
(5) 本人の在職証明書
(6) 本人の源泉徴収票
(7) 本人のパスポート

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旅券(パスポート)の基本的役割は、それが国際旅行用の公式の身分証明書だということです。したがって、旅券の記載事項は第一に「国籍」であり、その他に氏名・生年月日・性別等の身分事項の他、旅券番号、発行年月日、有効期限、発行機関等が記入され、写真が貼ってあります。旅券には様々なものがありますが、大きく4種類に分けることができます。

● 本国政府の発給した旅券
● 国際機関の発給した旅行証明書(国連の職員等に発給されるもの)
● 旅券に代わる証明書(難民旅行証明書等)
● 渡航証明書(無国籍者等有効な旅券を所持しない外国人に日本国領事館等が発給するもの)

旅券(パスポート)を所持する場合には、いろいろと注意が必要です。まず、旅券には、有効期間が定められ、表示されているのが通例で、それぞれ国によって期間は異なっています。したがって、入国管理局に手続きをする場合には、在留期限と同様に、旅券の期限もチェックする必要があります。そして、期限切れ間近のものについては、自国の大使館、領事館で旅券の有効期間の更新をしてから、入管関係の申請手続きを行うよう配慮が必要です。

→ 外国人入管・婚姻手続


 
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